帰国後すぐに大垣のご実家から送られてきた母上手作りの野菜たち
真冬の京都へ、パリから里帰り中の絵本作家・市川里美さんがやって来てくれました。大垣の実家に滞在していて、すこし刺激が欲しくなった様子。「では、弘法さんへいきましょう」ということで、20日に入洛。夕刻アンジュへ。ちょうど刊行されたばかりの「おそとがきえた」角野栄子、文(偕成社)が届いたところでグッドタイミング。さし絵が里美さん。60冊目!グレイでおしゃれな表紙、素敵です。さっそくサインをしていただきました。(もうその20冊は完売。また数日まえに追加しています。)アンジュの店へは数年ぶり。毛糸の大好きな里美さんは興奮気味。なにしろ私は専属ニットデザイナー。このたびも昨年末に仕上がったお好みのシンプルセーターを着てきてくれました。細いほそい黒と紺の2本どり、長いネックに並んだガラスのちいさな黒いボタンは、2年まえパリに行ったときバンブののみの市で見つけて預かってきたもの。そのボタンからデザインを描いたようなものです。「ものすごーく気にいってる」。喜んでくれて嬉しいものです。襟元と袖口からボルドー色のシャツをのぞかせて、さすがにパリジェンヌ。メインにデイスプレイしていたグレイのえりつきジャケットを着てみて「わー素敵!」と、うっとり。好きなものを着るのが一番。パリに持って帰ってもらうことにしました。また花の絵を描いてくれることでしょう。
夜は祇園へでかけ四条・花見小路を下がったあたりを散策。パリとはちがった夜景、静かな冬の京都です。一筋なかに入った「k」でデイナー。一見京都ふうの町屋レストランが京都じゅうに蔓延しているけれど、「なんだかね」と首をかしげるところが多いなか、ここは違うと思って通っていたら、オーナーは京都の方。祇園かいわい特にこの一帯は新規の出店に厳しい・・・とうかがい合点。里美さんもくつろいで、美しくおいしい料理と店の雰囲気に大満足。きらびやかな夜のまちを通り抜けて辰巳稲荷周辺、THIS IS KYOTOというロケーションを眺めながら三条まで歩き、地下鉄で山科へ戻りました。 サインをする里美さん
祇園界隈弘法さん 翌21日は弘法さん。初弘法の人波にもまれながら、バンブのおしゃれな蚤の市とはくらべられないものの、それなりに楽しい!私はさっそく古伊万里?風ひし形皿をゲット。色・かたち・価格(1000円)文句なし。ワクワクしてきます。里美さんも興味しんしん。クリニアンクールなどの蚤の市で長年きたえられた目利きですから、妥協せずに目をくばります。でも、思案の末誘惑にまけることもしばしば。そこが蚤の市めぐりのよいところ。次の人形の本のために小さな伏見人形の犬を見つけました。よごれたグレイ。かわいい顔をしています。どのような絵になるのか楽しみです。二人で旅した風景や探した小物・人形が描かれているのを見るのは感動です。屋台のわらびもちやごへいもちにも誘惑され、もちろんお参りもして北門近くでいよいよパリの友人たちへのお土産探し。モスリン堂というきちんと店ぞろえをした古布やさんで足がとまり、ちいさな友禅の小袋を品定め。私もカトリーヌさんへのひとつを託します。お昼は再び祇園へ。前夜は闇に隠れていたいっさいが冬の陽だまりに居ます。てっさい堂などをひやかし、古美術といった商いをする店に立ち寄り、鍵善で「くずきり」。やっぱり京都は素敵!との感想が聞けて安心しました。あのパリに負けていない京都を案内できたでしょうか。[あなたのニットはほんとうに美しい」と本にサインをしてくれた里美さん。こんどはパリで逢いましょう。
2月5日  石井麻子
パリから

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