8月28日(日)夜 22:30 関空発Tk(トルコ航空)047便。出発間際まで山のような仕事をしていたので、ようやく束縛から解放されて夜空へ舞い上がります。京都市と姉妹都市提携を結ぶクロアチアの首都ザグレブと、ウクライナの首都キエフを訪ねる友好の旅ですが、ざっくりとした構成の現地集合。まずは古くからの友人である佐竹さんと、はじめてご一緒するYさんの三人でチェックイン。三枚の持参するタペストリーの重さが心配でしたが、なんとかスルー。この日、植木鉢の寄せ植えをしていて「ギクッ」と軽いギックリ腰を発症。案じていた座席も三席確保でき、トルコのイスタンブールまで横になれてラッキーでした。トランジットがおよそ7時間と気の遠くなるような空港滞在と思っていたけれど、アンジュアカデミー会員である佐竹さんの課題作「小さな家のクッション」の遅れを取り戻すレッスン時間となり、屋根のブロックが三段も編めました。また、ベンチの隣に座っていた方から「どちらまで?」と声を掛けられ、そのY氏はおひとりでこれから一か月、モスクワをスタートして東欧を中心に「ユースホステル」に泊まりながら旅をされるというのでびっくり!定年後の夢だったのでしょう。さまざまな国さまざまな人々が交錯するイスタンブールらしい空港の雰囲気に浸っているうちに、あっというまに搭乗時間。二都市で演奏される雅楽のご一行と出会えました。Tk1053で12:40発ザグレブに向かいます。ここで静かに待っている若い女性に「あなたは何を演奏されるの?」と尋ねると、「えっ?」とリアクション。「わあ、ごめんなさい、日本の方かと思った」とお詫びして、ザグレブへ行くことなどを話すと、「クロアチアははじめて、スプリトという海辺に行く。ドブロブニクはラマダン明けのトルコ人がいっぱい行くので避けた」とのこと。小さな飛行機に乗ると、なんと通路をはさんで隣り同志。おもわず握手!Anicaさんは言語学のDr。「毎日パソコンに向かって大変」とのこと。時差を1時間戻して13:50ザグレブ着。「Have a nice vacanse!]と言って別れました。

空港を出ると公園が広がり、およそ気どりのないフランクさ。アルミナさんというガイドさんが出迎えてくれてホテルへ。21年ぶりのザグレブです。前回は列車でブタペストから着いたので、この辺りは見知らぬ風景ですが、空から全体を見渡し、車で街へ向かうと方向感覚が整えられます。懐かしい街の中心にあるドブロブニクホテルへチェックイン。ひと息ついて夕刻から街をぶらっと散歩。ホテルの前はトラム(路面電車)の行き交うイエラチッチ広場。タペストリーにも編み込んだ「イエラチッチ総督」の騎馬像をパチリ。花屋の並ぶ階段を上がり市場へ。みずみずしい野菜や果ものが”ブンブン蜂”を呼んでいます。変わりありません。すこし活気が失せているのは、もう終わりがけだからでしょう。ぐるっとまわって市場の裏から旧市街の奥へと進み、カフェの並ぶトゥカルチチエ通りへ。可愛い三角屋根のカフェでアイスクリーム。ブルーベリーとバニラのコラボは絶品!向かいのピザ屋さんがデイナーの準備中。まだ陽は高く、白夜もあとしばらくでしょうか。丘の上に登ろうと近道を探しているとアニカさん。「また逢った!ご縁があるのね」 写真を撮ります。再び別れて、見上げるような木の階段へ。腰も痛いけど、ここは逆療法。登らなければ見えない景色もあります。石壁の路地をぐるっと回ると、聖マルコ教会。タペストリーの下絵として製図を描くのに5日間かかった、いわくつきの紋章入り複雑モザイク屋根です。それを編んでくださったFさんには本当に感謝ですが、描いて描き直しているときは「屋根の設計家!なんでこんなに細かいの?」と爆発寸前でした。でも、抜けるような青空をバックに艶々光る丸いタイルの屋根は美しく、やはりザグレブの風物には欠かせないものだと実感したのです。緑陰の坂道を下り、イリツア通りへ。ショッピングストリートを歩いて広場へ戻り、ホテルで小休止。その後ディナー先を探しているとき、おしゃれな古色蒼然とした建物に惹かれて入っていくとアーケードになっていて、中心にオクトゴン(八角形)のフロア。タペストリーにも取り入れた幾何柄が描かれ「やあ!会えましたね」と不思議な感覚。銀行があるからか、昔の衣装をまとった番人がふたりいて、首をめぐらすと吹き抜けのドームは美しいステンドグラス。入ってみなければ出会えない宝物のような場所でした。前のときも、市場の近くでお魚料理を食べたので、アドリア海の幸を求めて歩くと角に魚の看板。ここが大当たり!いかすみのリゾットと、すずきのグリル。魚のスープも添えて美味満腹。なが〜い29日が暮れました。

晩夏の旅 T

イエラチッチ総督像

聖マルコ教会

丘の上の旧市街

花屋の看板おばあさん

ひまわりの花を持つ

八角形のアーケード
オクトゴン

夜のトラム

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