水玉のカーディガン

宙の天使たち Ⅲ

タペストリー「フィレンツェ」も大方出来上がってきた6月の初めに、友人とドライブ。「どこへ行こう?」と問われて迷わず信楽へ。思いがけなく1か月での再訪です。名神草津から天空のハイウェー「新名神」をわずかだけ走り「信楽インター」で下りれば、あっというまのミュージアム。特別展の終了も間近ですが、平日のためか前回にも増してより静か。会期中に二度目の展示会というのも珍しく、それほど魅力的な催しでした
また信楽には心身を癒してくれる本物のオアシスがまだあり、それは伊賀の方へ山道を行ったところの多羅尾。ゴルフ場のクラブハウスを横目にもう少し丘を登ると、お瀟洒なレイクサイドホテルが出現。レストランからの借景は小ぶりなグリーンへの回遊路が長い藤棚になっていて、さぞ花盛には見事な光景だと想像出来ます。温泉も清潔で緑に囲まれた池を望む露天風呂も至福の時を約束してくれます。京都からそう遠くない所に極上のオアシスがあるのは嬉しい限りです。こうしてストレスと上手に付き合いながらなんとかタペストリーも仕上げました。なんと1月12日にデザインに取り掛かってから丸半年を要したのです。前代未聞の制作日数をかけた姉妹都市シリーズ7作目。それでも完成作を広げると、「わあー」と歓声が上がり、レッスンで居合わせた方の中には「今までで一番いい!」と言ってくださる方もいて、複雑な気持ちながらほっとしています。同時に「宙の天使たち Ⅲ」も出来上がりました。アカデミーの全員で制作するという震災へのオマージュですが、3作目でありながらモチーフを繋ぎ合わせていると幾つも課題が見えてきて、ますます丁寧なレッスンを心がけねばと考えさせられた次第です。

5月3日(土)の憲法集会の準備と、当日のウォーク・コンテストの後仕事などで、5月末の表彰式までとんでもないほど忙殺され、その上取り掛かっていたタペストリーの「フィレンツェ」はデザインが大幅に遅れて、少々焦りも生じていました。長いことご無沙汰をお許しください。しかしこの間、重責に耐えかねて気分転換に二度も出かけた緑の中のミュージアムのことをご案内したいと思います。新聞広告で見ていた「江戸の異国万華鏡」ー更紗・びいどろ・阿蘭陀ーという特別展が催されていたのは、滋賀・信楽にある「ミホミュージアム」。以前から信楽に出かけた折に通りかかってはいたのですが訪ねるのは初めてです。JR石山駅から帝産バスで50分。乗客は全て終点までのようだからまるで貸切バス。若葉の輝く田園風景に見とれるうちに県道を逸れて取り付け道路に入ります。山あいに開けたエントランスの広々と爽やかなこと。待つ間も無くミュージアム棟へいざなうエコな電気自動車が迎えに来てくれます。もう咲き終わりかけの桜並木の向こうにトンネルが見えたと思ったら、なんとトンネル内は宇宙基地のような洒落た照明が異次元の空間。トンネルを抜けた先に見えるミュージアムは著名な建築家によるものとのことですが、ちょっと違和感を感じる異様な外観。そして中へ入ると、このミュージアムがある宗教団体を母体としていることを認識させられる光景が広がっているのです。森の向こうの山並みの中に巨大な施設が眺められ、思わず手を合わせる方もいると思われる景観です。

姉妹都市・フイレンツェ

信楽・ミホミュージアム

移動はエコなドライブで

オアシス

オアシスといえばアンジュの小さな庭も私にとってはそのひとつ。先日植木屋さんが来てさっぱりとしてもらいましたが、梅雨どきの重たい風にゆっさりと揺れる木々や可憐な花をつけた草花があちこちで咲き、春に植えたアーモンドも30cmに伸びていますし、今年はまた葡萄が鈴なりです。「ミホミュージアム」のショップで求めたCDは、この季節にピッタリとした優しいメロディーを奏で、緑の庭を眺めながらどれだけ疲れた心が癒されたことでしょう。
さて、ひと息ついてから姉妹都市8作目の「西安」に着手いたします。今年が交流40周年というのですから、のんきに構えてもいられません。では暑さに向かう折、みなさまお元気でお過ごしください。   2014・6・19 asako


それはさておき、3月半ばから6月8日までの特別展は鎖国時代に長崎にたどり着いた異国の宝物が展示されています。特に更紗の見事さ、オランダの東インド会社がインドで染めた布は、権力や財力を持っていた当時の人々が身に着けたり身の周りに置いたりして愛でてきたものたちです。小さな端切れの数々に目を見張り、現代にでもそのまま活かせる文様と配色に釘付けです。祇園祭「鯉山」の更紗に細工を施した胴掛けも展示され、今年のお祭りでは現場で見上げるのが楽しみなこと。ゆったりとした館内、応対の穏やかな職員たち。豊な自然に囲まれ、とびきりの静けさに包まれたこのようなミュージアムにこれまで出会ったでしょうか。ここはわたしのオアシス、とそう思い四季折々にまた再来を心に誓って帰途につきました。
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