極上のバカンス Ⅰ
ヘルシンキで税関を通ったのでバゲージを取ってそのまま外へ。このたびお世話になる友人のご主人エイナさんが迎えに来てくれています。「お久しぶり!」8年ぶりだそうです。東京クラスの数人とフィンランド・スエーデン・デンマークの三国をライラックの咲く季節に廻ったとき以来。アーランダ空港は丁度ストックホルムとリンダール邸のある古都ウプサラの中間にあり、料金の要らない高速道路で30分。走り出してすぐ叩き付けるような雨が降り出し、濡れなくて良かったね、と話していると(エイナさんは日本語可)、右の車窓に虹。車はすぐに止まれなくて林の開けたところまで行ったら、通り雨は上がり虹はもう消えていました。でも幸先の良い7色に出会えたのです。10年前リンダール夫妻はそれまで住んでいたウプサラ駅の東側から西側に転居されました。そして今回は回り道だけど早いからと初めての道をドライブして到着。緑に囲まれていつも感心するほど気持ちの良いお宅。関空で重量オーバーと宣告され取り出したお米やあれこれのお土産、美代子さんから頼まれた「藤沢周平」の文庫本5冊などを広げます。もう夕食の準備も整っていて早速ワインで再会を祝して乾杯!食後にはダーラナの森で採ってきたブルーベリをたっぷりのせたケーキ。今回はダーラナのサマーハウスにも誘われているので、おふたりにご迷惑が掛からぬよう久方のひとり旅です。ここ数年は体力や心理的に以前より劣ってきたと実感して、遠出には誰かと一緒にを実践していました。しかし、春の終わりにスエーデンへの旅を決めると、まずメンタル面も強くし、まだまだひとりで大丈夫と自分に言い聞かせる日々でした。多少ヴァンター空港でまごついたりしたけれど、目的地へたどり着いて、懐かしく優しい友人夫妻といただくワインは格別でした。折々にメールをくださるので、8年という歳月を感じませんが、9時近くてもまだほの明るいウプサラのあるスエーデンは、やはりはるばると遠い国なのです。
翌25日はひとりでストックホルムに出かけて一泊の予定。今回調べて行ってみたいと思ったヴァックスホルムス島と、次の日はストックホルムでどうしても外せない小さなミュージアムが目的です。病院へ行くエイナさんにウプサラ駅まで送っていただき、リニューアルして改札口が無くなった駅までついて来てくれた美代子さんから、半地下にあるコンビニでチケットを買うことを教えてもらい、いざストックホルムへ。簡単に行けると考えていたけれど、前夜エイナさんが色々検索してくれて、メトロとバスを乗り継ぐことも判明。中央駅で1DAY チケットを求めると「115クローネ!」お金を出そうとすると「シニア?」もちろん、そして75クローネになりました。観光客にまで適用されるのはさすがに福祉大国です。T14ラインで三つ目下車。通りに出て169番のバスに乗り、終点まで45分。やって来たのはストックホルム周辺に浮かぶアーキペラーゴ(群島)のひとつです。手の届きそうな所に「ヴァックスホルムス要塞」。水辺に風情漂うヴァックスホルムスホテルもあり、品の良いリゾート。漁業や船の仕事に携わる住民の家か、サマーハウスか判然としない可愛い家々が小高い丘に建っています。ランチはもちろんシーフード。カフェレストランのテラスで海老とアボガドのサラダにします。日蔭は寒いと思うほど、酷暑の日本では信じられない爽やかな快晴。食後に丘を巡って、これまたガイドブックに紹介されていたカフェまで散歩。古色蒼然とした家の売店で飲み物と小ぶりのケーキをテークアウトして、ガーデンの一番先にある水辺の特等席へ。あらゆる国の言語が飛び交うインターナショナルなひとときでした。

玄関先から西の広場

8月24日(日)am10:50 関空発のフィンエアーAY078便は時刻通りTake Off。前日まで夏季補習があり、酷い暑さの中で出発前にすべき雑多な事柄を全てしたつもり、珍しく忘れ物もない・・と思っていたのに、飛行機が日本海から北朝鮮をかすめてロシアに入った途端「あァ」とやっぱり気になること二つ。しばし落ち込みました。そのうち読みかけの本に夢中になっていたら、いつのまにか画面の航路地図はコーカサス山脈を越える辺り。そこでネットでゲットしたストックホルムのホテルの予約表をプリントしたものを忘れたことに気づいてしまう。しかし決済はしてあるのだから何とかなると思い込むことにし、それより旅への期待が膨らんできます。約9時間半でヘルシンキ・ヴァンター空港15:00着(現地時間)。気温19℃。スペインのセビリアへ行ったときから3年ぶりで懐かしい。近年ヘルシンキは日本から一番近いヨーロッパとして大人気。空港は国際色豊かで大賑わいです。16:45発のストックホルム行を待つ間、広いロビーを歩いて運動。ポカリポカリと浮かぶ雲に見とれているうちに小型のAY2645便は舞い上がり、時差の関係で同時刻16:45ストックホルム・アーランダ空港にLANDING.。

カフェは右手奥の黄色い民家

ヘルシンキ・ヴァンター空港

船着き場までの帰り道にブチックが数軒並ぶお洒落な通りにも出くわし、まったく期待を裏切らない、居心地の良いリゾートと感心しました。3時間の滞在ののち、今度は船でストックホルムへ戻ります。45分・75クローネ。どの小さな島にも可愛い家が建ち、桟橋にボートが繋がれ、自然と共に生きている豊かな国の人々が、健康に生きていると実感します。夕方まだまだ明るいストックホルムに戻り、今回は予定に入っていなかったガムラスタン岸に着いたので、細くて趣のある石畳の道を歩いて、やっぱりガムラスタンは素敵だと予定外の散歩に満足。ホテルへ入る前にエステルマルムの屋内市場で夕食の買い物をするために、1DAYチケットが役立ち、ひと駅づつではありますがメトロを乗り継ぎました。絞りたてのオレンジジュースに焼きたてのパン、くだものも少し買って帰ります。
今回はあれこれ思案の末にグランドホテルに宿泊。いつもガムラスタンからご縁の無いホテルと眺めていただけなのに、ノーベル賞の受賞者が泊まり、2年前はオバマ大統領も泊ったという五つ星。もちろんウプサラに着いてすぐプリントを忘れたというと、美代子さんがホテルに電話をしてくれて「WELCOME」と請け負ってもらっていたので、安心してチェックイン。シングルを頼んだのにスーペリアルームにグレードアップされていてラッキー!歴史あるホテルに物怖じせず泊まれて、まあ、まだひとり旅もOKのようです。 つづく

2014・9・9 asako

ウプサラ駅まで
送ってくれた
美代子さんと

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ヴァックスホルムス・ホテル

ミルクティーとブラックチェリーを
のせたバニラハート

一番地のお洒落な家

ランチをしたカフェレストランは
果物屋台の向こう

ウプサラ・リンダール邸

要塞