1月の連休に広島に出かけました。ジュエリーデザイナーの田部(タナベ)さんは例年ですと12月半ばからひと月ほどグァムの知人宅に避寒。しかし昨年ご実家のお母さまが骨折で入院されたので介護のために日本でお正月とのこと。では、長年お誘いを受けていた宮島への旅を実現しましょう。9日(金)に東京初レッスンを終え、この一年ゆとりのスケジュールを試みたので昨年までとはイレギュラーなこともあり、10日は京都の土曜クラスが初レッスン。そして11日「のぞみ」で西へ。山陽本線に乗り換え「廿日市」で田部さんと合流。宮島口を通り過ごして「大野浦」下車。なんども聞かされていた「ひらきや」さんへタクシーで向かいます。ちょっと山手にある家庭的なこじんまりした料亭と思っていたら何ということでしょう、瀬戸内海が望める斜面を切り開いて広い駐車場。大きな樹が門前に立ちミツマタや蝋梅のお出迎えにビックリしていたら、前庭のその奥に平屋の和モダンなカフェレストラン!ガラス窓から見える店内は、丁度ランチタイムが終わりかけのようでほぼ満席です。庭先から海を眺めていると、、その斜面にクルックル回るものが一面にあって思わず小道を降りたら、そこは「ひらきや」さんの畑とのこと。野菜づくりをしてくれるご近所のおじいさんが趣味で制作ですって。大小さまざまなブリキのオブジェが、もう吹き出すほどカラカラ風に回っていて、でも遊び心いっぱいのありとあらゆる形態のオブジェは必見です。これなら美味しそうな野菜を狙ってやって来た鳥たちも目が回って降参でしょう。
冬のお庭をぐるっと散策してお邪魔します。わあ、玄関のテーブルに箱が置かれ、大きな大根!人参!ハッサク!・・。靴を脱いで上がるとフローリングのリビングといったアットホームなしつらえ。オーナー母娘さんとご対面!お目にかかった途端、ランチプレートが楽しみとなりました。きっと腕の良いシェフと確信です。奥の小部屋に座ると、鍵の手となった南西のテラスに面していて、大鉢に活けられているのは裏山から枝落としした梅とのこと。もう下のほうから蕾がほころんでいます。「カキが食べたい」と田部さんに言っていたのが伝わって、プクプクのカキのグラタン、採れたての野菜たち。山盛りのサラダにはビーツ(赤かぶ)のドレッシングが付き、きめの細かい手作りパンも添えられています。ロケーションとオーナー母娘さんの素敵なお人柄と美味しさに大満足のランチとなりました。と、そこへ三々五々といった感じで「ひらきや」さんのお友達がやって来ます。どうやら旧知の田部さんの帰省を知ってのようです。
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老舗「岩惣」お正月のしつらえ

   京都、そして京都から

わが心のオアシス Ⅰ

遠くに岩国のコンビナートの灯が・

この三月で古希を迎えます。終戦の年に生まれたわけですから、ありがたいことに悲惨な部分は体感せずに成長したのですが、戦後の記憶はそれなりにあり、長じて非戦への想いもそれが一因と思っています。しかしビートルズがやって来た60年代の終わり頃から、東京はオリンピックでリセットしたかのように湧きかえりました。嬉しかったのは、街のあちこちに素人が手作りしたようなブティックや、今でいうカフェなどワクワクするようなお店の出現が相次ぎ、10代から20代の心が弾んだことです。洋書屋さんから送られてくる「seventeen」という分厚いカラーページを、夢のような世界と思い憧れた世代ですから、ハングリーな暮らしの中で、自ら夢を創り出す以外に道は無かったといっても過言ではありません。しかしバブルが弾けて・・という言い方をされて、街は変わっていきます。経済の構造が変化し企業化され、大型量販店がチェーンとなって日本をカバーします。おかげで味のあった地方の駅前商店街はシャッター通りと呼ばれ、国道を走ると看板を読まなければ何処なのか、判断も出来ぬほどの画一さ。嘆かわしい状況です。それでも平均寿命は伸び、高齢化も進み、私たちは生きていかねばなりません。そこで今年は私が「心のオアシス」に出会ったときには、そこをご紹介したいと考えました。少しでも居心地の良い空間を共有して、折角ですから楽しく穏やかに過ごしたいですね。といってもガイドブックのようなお店の紹介ばかりでなく、読んだ本や観た映画であるかもしれません。でも多くは京都や京都からの旅で得た「オアシス」をお知らせするつもりです。沢山あると良いのですが、今年は11月に京都で大展示会を予定しているので仕事もしなければならず、どうなりますか乞うご期待!といったところです。

建築家・Sさんのお点前

翌朝、田部さんと宮島へ渡ります。旅は好きで全国津々浦々出かけたつもりでも、いまだ訪れていない所っていっぱいあるのです。それが今後の楽しみでもあります。初宮島のお社で初詣。赤い鳥居のそばまで行ってみます。やはり大きいことには感動。ぐるっと町をまわって、前日みんながワイワイとアドバイスしてくれていた見どころを周り、老舗旅館の「岩惣」へ。皇族の方も宿泊されるという由緒ある旅館のようです。この日はケーブルカーで山頂には向かわず、歴史的建造物の千畳閣(豊国神社)へ。吹き抜けの大空間に圧倒されました。その後裏道を巡り、フェリーで広島の宇品港へ。お洒落な市電で市内まで乗り「本通」下車。目的のひとつ「アンデルセン」本店を目指します。ちょっと賑わいすぎるけれど、ここも私の「オアシス」の一つです。展示会で滞在中にモーニングをいただきに通ったこともあります。今回は溜まったシールを交換に3階へ上がってみます。まるで洒落た北欧の雑貨店のようで、その中から選ぶことが出来ました。2階はランチバイキングで長蛇の列。私たちはお好み焼きに決めていたので、お好み村の「村長さん」というお店でいただきました。最後にカキの鉄板焼きも忘れません。
ほっこりして美味しくて、のどかな1泊2日の広島でした。案内してくださった田部さんと「紙屋町」の電停で「また東京で」と言ってお別れし、夕刻には京都へ戻ることが出来ました。「オアシス」編はまたいつか。
寒さ厳しい冬です。あとすこし頑張りましょう。お元気で。

2015・1・31  asako




☆attention
「ひらきや」さんは広島・大野浦で検索してください。
ランチのみですが事前の予約があれば良いでしょう。
クローズの日、オープン時間などもご確認ください。

瀬戸内を望むお部屋で午後のお茶会

下の畑道を上がって来られたのは、岩国在住の建築家・Sさん。いつの間にか大きな部屋のテーブルが寄せられて総勢9名。思いがけなくSさんのお点前でお茶会が始まりました。美味しい和菓子と、前日に運び込まれていた由緒ある茶器を愛でながら、至福の時間がゆったりと過ぎてゆきます。夕方には宮島に渡って夕日フェチの私が待ち望んでいた落日を眺める、という当初のプランはどこへやら。南に向いた窓から見える岩国のコンビナートが灯り出し、今日の夕景はここで良いと思います。レストランのあちこちにさり気なく置かれているのは周辺で採取した木の実や緑たち。アレンジメントは広島でディスプレイを手掛ける方のもの。テイクアウトも出来るパウンドケーキは大竹という岩国に近いところから来られた方の手作り。ご近所さんも加わり時の経つのも忘れるほど話題に尽きぬ午後でした。元みかん小屋だった空間は、京都からの距離感も縮めてしまい、会った途端にフレンドリーな人々って嬉しいですね。
オーナーさんから「夜はイタリアンでいい?」と尋ねられたら、もちろん何処かわからないけれど良いに決まっています。歩いて帰れる方は大きな大根を抱えて、さようなら。日が暮れて7人が2台に分乗して向かったのは、その夜私が泊まる宮島口のフェリー乗り場にあるホテルの、まさに隣りにあるマンションの1F。なんとも賑わっている地元の人々ご用達のレストランのようです。2月には広島市内に移転予定とのことですから、グッドタイミングですね。美味しいワインとナポリ仕込みのパスタやピザに、盛り上がり度抜群のディナーとなり、welcome!と歓迎してくださった「チームひらきや」に感謝の一日でした。

宮島で初詣

ヘルシーなランチプレート

駐車場からは裏側にある
東向きのレストラン玄関

李朝時代の茶器

採れたてのミニマルシェ

冬の陽を浴びるビオラ・・ アンジュにて

風に回る手作りオブジェ