春のサプライズ

さて、この春から俳句を初めました。月に1回伺うのは嵯峨野の落柿舎。はじめの一歩、まだ駆け出しの新参者が参加して良いのかと、不安と期待を抱いての嵯峨野行きとなりました。実は「落柿舎」には想い出があります。高校三年生のとき、東京からの修学旅行は、伊勢志摩・吉野・奈良・京都。三千院へ行けば、小川で水車がゴットンと回り、畑に牛車の頃のこと。嵯峨野では常寂光寺から下りて来て、広い畑の向こうに「落柿舎」の藁屋根が見える光景がしっかりと胸に焼き付いています。セーラー服を着て、仲良しとワイワイ言いながら観光をしていたのですから、まさか自分が70歳になって京都に居ることも、ましてや「落柿舎」で俳句を詠んでいるなどと、誰が想像したでしょう。縁あって京都に住まい、時折嵯峨野へも出かけますが、この40年の中でも「落柿舎」付近へは数えるほど。未だに畑は開発の波も押し寄せず、京都市の管理下に置かれて変わらぬ風景です。余談ながらこの畑で小豆を育てていて、小倉山のふもとにあったことから、小豆あんのことを小倉餡というのだそうです。


2月初回の兼題は「寒き春」。毎回自由題と5作ずつ作句します。

春寒し 嵯峨野の芒 風に鳴る

3月の自由題では  

とりどりの 色糸合わせ 春を編む   

4月は「桜」 

風に揺れ 花かんざし 連なりて  



日々散歩や買い物途中でも、いつの間にか五七五と言葉が巡ります。俳句を詠むというのは「日々を大切に過ごすことだ」と読んだことがあり実感する毎日です。ようやく年相応の趣味の時間を持てたことを喜び、誘ってくれたT氏に感謝!
今年は桜の時期に雨が続きました。それでも桜は素晴らしい、巣立ちの時を寿ぐ花ですね。句作のために桜の天蓋を見上げることもしばしばでした。
若葉の季節に移行の頃、寒暖の差に気をつけてお過ごしください。  

2015・4・7 asako 
そしてまた誕生日の一日前である20日には「お花」のプレゼント!クロネコさんが何を届けてくれたのかと訝っていると、昨秋の青山での展示会の際にお世話になった「西荻窪」の花屋さんからのアレンジメントでした。6日に撮った写真と全員のメッセージが寄せ書きされたカードまで付いています。居合わせたレッスン中の方々と、あまりに素敵なプレゼントに興奮してしまったのです。      

古希我に 暦華やぐ 弥生かな

70歳というのは昔でいう還暦のようなものと感じています。60歳のときよりもずんと重みがあり、ここからもうひと頑張りとギアをチェンジするような気もちです。寄せ書きに書かれたみなさんからのメッセージは、そんな古希を迎えた私に素晴らしい励ましを与えていただけました。健康であれば、この先もまだまだみなさんが編みたくなるようなデザインを生み出していけるでしょう。ありがたいサプライズの連続に感謝の三月でした。

東京・西荻窪 EL SUR さんのアレンジメント

この庵で句会

東京クラスはひょんなことから始まりました。もう30年以上も前のこと、雑誌「セゾン・ド・ノンノ」でグラビアページに取り上げられたことから単行本の刊行がスタートし、あちこちのデパートで催事の企画も持ち込まれました。なかでも新宿・伊勢丹の担当部長さんとは催事を終えたあともご家族とのお付き合いが深まりました。奥さまの希望で代々木上原のお宅にお邪魔して東京クラスがスタートしたのです。以降あちらこちらと所在は移転を重ねましたが、アンジュがアカデミーとなる以前からの存在です。2泊3日で滞在しながら少人数の午前・午後クラスを2日間など、今から思うとまだ若く余裕があったのですね。
母が自宅で転倒し骨折したのが東京でレッスン中だったこともあり、介護に時間も取られることで教室を縮小し、その後は余程のことが無い限り日帰りとなりました。母亡きあともクラスの拡張はせずに、場所も表参道で下車して徒歩5分の青山学院大学アイビーホール(同窓会館)。生徒のひとりが同窓生というご縁のおかげで、ここ数年定着しています。
この日は「宙の天使 Ⅳ」の制作をサポートしてくれているみなさんに、ホワイトボードで編み方の説明をしたり、念願のオリジナルテキストを配布するなど、月に一度の貴重な時間を大切に過ごしていたのです。レッスンは楽しいですし、青山界隈もお洒落ですが、今年から行き帰りの(特に新幹線の乗降と駅の雑踏)ストレスを軽くするために、4・8・12月を東京は休講とさせていただきました。申し訳ないと考えているのに、だからこそ余計にみなさんの温かい心づかいに恐縮し強く感動しました。

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嵯峨野 畑越しに落柿舎を遠望する

三月で古希となりました。節目の到来を告知していたからでしょうか、東京クラスのレッスンがあった6日に思いがけないサプライズ!!
毎回午後のティータイムをみなさんでご一緒するのですが、1Fのレストランからドリンクをオーダーして、スイーツはお当番の方がお住まいの近くの名物などを回りもち持参してくださいます。この日も「今日はどなただったかしら?」と思っていると、3時半に入口のあたりがざわついて、カートに載せたバースデーケーキが入場!7本のキャンドルも灯されて私の所までたどり着いたときは絶句!まったくいつの間に企てたのでしょう。さすがにチームワークの良さに脱帽です。こぼれそうな涙を必至にこらえてお礼を申し上げました。

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二尊院近くの梅林