プラハとの記念行事はまだまだ続き、9月19日(祝・月)には京都駅・室町小路で「チェコの音楽祭」。昨日お彼岸の墓参帰りに立ち寄れば、台風の影響を懸念?、会場をホテル・グランビア前に移動して行われていました。時折日差しも出る天候なれど、主催の駅ビルでは万一のことを思っての移動でしょう。チェコの若い女性ミュージッシャン、ベアタ・ポッジェックさんがアコーディオンで自作の曲を歌ったり、ヴェントリーさんがコンピューターサウンドを聴かせてくれるなど、遠い国を身近に感じるひとときでした。
9月21日から10月31日までは、チェコセンターのエヴァさんからの広報メールで『アルフォンス・ムハ(ミューシャ) 祖国チェコへの想い展』が、東京・広尾のチェコセンターで催されます。
11月15日(火) 京都コンサートホールで19時に開演されるのは『ベートーベェンなんてぶっ飛ばせ!?』。過激なタイトルですが、市立芸大・音楽学部公開講座。プラハとの記念行事であり、プラハ音楽アカデミー教授も出演。「ホントはスゴイ、音楽史を支えた知られざるボヘミヤの作曲家たち」という副題つきです。

京都以外でも11月21日には兵庫・伊丹の「アイフォニックホール」にて「チェコと日本の出会い」~ヤン・レンツェルと「原爆ド-ム」~の講演会。レンツェルはプラハで建築を学び、ホテル・エウローパを設計後、のちに「原爆ドームとなった広島県物産陳列館の設計に当たった方。プラハでバスの中から小型ドームのあるレンツエル設計の建物を教えてもらったことを思い出します。19時より。
また同ホールでは12月11日(日)14時から「チェコのクリスマス」というコンサート。チェコ少女合唱団”イトロ”は世界最高の少女合唱団と言われているそうです。このように6月の旅がいつまでも終わりません。先日、同行されたIさんが、小川糸さんのエッセイを持って来られて「ここにベルリンのことが書かれています」と見せてくれました。確かに私たちは旅で見聞を広めて来ましたが、それだけで終わらず普段は見逃すアンテナが、細かな微動も感じ取り「心の旅」がより膨らむことを知ります。ひとり旅ではなくグループであれば何倍にも・・。

暑いばかりと思っていた夏が去ったようで彼岸花も咲いています。秋は駆け足でしょうか。心地よい季節が一日でも長引くことを願っています。

次回は多分10月に入ってから?皆さまどうぞお元気で。  asako 2016/9/20

2016 夏日記 Ⅱ

8月4週目は夏期補習の後期、5週目に糸の入れ替えなどして、9月2日にレッスンのため上京します。来年3月末に広島で予定されている「ギャラリー展」の打ち合わせを兼ねて、ランチはジュエリーデザイナーの田部(タナベ)さんと。六本木のミッドタウンで待ち合わせたけれど、レストランを特定していたわけでもなく、何処かと探しますが思うところが見つからず、そびえ立つビルの45階にある「ホテル・リッツカールトン」のレストランへ昇ります。見渡せば右に「東京タワー」、左に「スカイツリー」。セレブな雰囲気も醸し出され、いっとき酷暑も忘れ、二人で「日本会議」のことなど懸念しながら、優雅なランチタイムを楽しんだのです。

翌3日(土)、前日の東京日帰りなどものともせず・・というか、この日で終わりというタイムリミットに合わせて展示会に出かけます。いつもは非公開、憧れの両足院(建仁寺塔頭)で催されていたのは『カケラたちの庭より』。8月27日から「世界考古学会議・第8回京都大会」が市内各所で展開されていて、そのサテライトのひとつでした。いつもは閉じられている門扉が開かれ、白砂に緑の禅寺は夏の風情です。書院に上がれば、陶片の集合や土器の破片でスタンプを造るなど、国籍もさまざまな研究者やアーティストたち20人の作品が涼し気に、思い思いの場所で無言の表現をしています。
テーマは「考古学という眼で見た世界は記憶と記録のカケラでできている」。哲学的ではありますが、奥の書院に座って庭の池に目をやり、かすかな風に揺れる背の高い梢を眺め、心洗われるような非日常の世界でした。庭の片隅にある茶室は、考古学を学ぶ学生さんが丁寧に案内をしてくれて、「狭小な空間と、お茶というミニマムなツールを通じて、茶道は純度の高いコミュニケーションを図ってきました・・」とカタログに説明があり、マレーシアの現代美術作家TAN・JCさんによる不思議な覗き眼鏡のようなものを渡され、茶室の外から茶室に居るような3Dでもない体験をさせていただきました。
夏休みらしく欧米人の家族連れも多く、多分彼らは初めての京都で、通りすがりの方もいらして、敷居の高い寺院とは知らずに訪れたに違いなく、私は40年余で初めての「両足院」であり、ご縁とはかくの如し・・なのですね。

岩絵の具で描かれたロシアの冬景色

さてこの日はティータイムも楽しみました。四条御幸町西入ルの「とらや・四条店}。夏は定番「氷あずき」の小サイズ。氷の上に和三盆の蜜が掛けられて、ヒヤッと美味しい逸品です。
ここはくつろげるカフェの穴場ですが、おしゃべりなおばさま方が居なければ読書にも最適。夏休みに読んだ本の中で印象的だったのは「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」。最初にプラハへ旅する前に読んだのは、元・在プラハ日本大使館員、春江一也著「プラハの春 上・下」。丁度、民主化運動に居合わせた境遇の中から生まれた小説はとてもリアルで、見知らぬ街の情景がガイドブックより住むひと目線で、マスコミから報じられた当時のプラハが、より鮮明に迫って来るほどの力作で惹きこまれたものです。

ずっと気になっていた故米原万理さんのプラハの想い出から生まれたノンフイクションの「嘘つき・・」は、6月の旅を終えて読むべき本の筆頭でした。植樹祭からボヘミヤの「テルチ」へ向かうとき、市内のある通りでDJガイドさんが「右手のビルは、元ソビエト学校で・・」と説明してくださり、米原さんとアーニャや世界中の共産党の幹部子弟が通学していた学び舎であったことを知るのです。
多感な少女時代に過ごしたプラハで、ロシア語で授業を受けながら、まだ子どもっぽさも垣間見せつつ、60年代のチェコスロバキア時代を記録映画のように描いています。
ギリシャ人のリッツア、ボスニア人のヤスミンカ、そしてルーマニア系ユダヤ人のアーニャ。仲良しだった友達のその後を辿る旅はスリルに満ちていて、特にアーニャのお父さんは、あのチャウチェスク政権の要人でもあり、激動した時代の背景が読み取れました。
同時通訳として活躍しながら、病に倒れてしまった才媛の無念さも感じ、何より「プラハ・ソビエト学校の前を通って教えてくれたDJガイドさんに、ただただ感謝!

8月16日(火)大文字の送り火。今年の初めに上賀茂の淵田先生宅で炉端を拝借してセーターの撮影をさせていただいた折に、バス停まで見送ってくださった先生から、船形山を眺めながら「8月にはぜひいらっしゃい!」と言われていたので、お言葉に甘えて夕刻から伺います。夕食の持参を申し出て、四条河原町の高島屋で調達。四条通りを堀川通りまで西向きのバスに乗り、堀川・四条で乗り換え、北へ向かう9番で終点の上賀茂車庫まで・・。雲行きは怪しいけれど、観光バスがひっきりなしに走っていて、「大文字観光の日」の賑わいです。
淵田邸ではNHKのBSで3時間の生中継を観ていらして、30台!のカメラが、京都中のあちこちから点火のときを待っているというのに、無情の雨が降り始め止みません。いつもなら夕立はあっても、8時には止むことが多いのに、やはり異常気象がここにも・・。
8時に「大文字」の火床が燃え上がり、中継によれば松ヶ崎の「妙法」もポツポツ灯り始め、いよいよ「船形!」と、傘をさして表に出ます。先生が越して来られた頃には周りは田んぼで良く見えたそうですが、その後住宅が建て込んで、確かに1・2軒が邪魔な部分もありますが、間近に炎の熱気まで感じられそうな臨場感には感激です。この日、主役の「大文字」は雨で煙が下に降りて、「大」の字が見えにくく、いつもはギッシリ満員の賀茂大橋や出町の三角州は人影もまばらとなったようで、購読している二紙とも翌朝「送り火」記事の写真は「船形」でした。

青萩

京都駅大階段の途中階にある
ステージ「室町小路」

建仁寺は祇園ですから帰り道は、歌舞練場内にある「八坂倶楽部」で『祇園 花街文化展』のポスターに惹かれて初めて寄せていただき、ひと気の無い会場で花街のしきたりやプロの写真家が撮りつづけた芸妓・舞妓さんたちのハレの写真を見てまわりました。ミニタペストリーのテーマに『舞妓さん』を考えているので興味があり、色々参考にさせていただきました。

丁度お昼時、久しぶりに「葱うどん」に行こうと路地を抜けると行列!かれこれ10年ほど前に出来た、目と鼻の先にあるギャラリーのオープン記念に展示会をしたことがあり、そのとき教えていただいて何回か通ったお店です。
『萬屋』は「南座」の楽屋への出前が主だったのですが、「九条ネギ」がこんもり盛られた「葱うどん」が人気となって久しいのです。12時開店の6分前。11番目って狭いお店ですから微妙な位置です。四条通りから1本南の目立たぬ通りなので、日傘を差して並びました。次から次へと行列は長くなり、いよいよオープン。おかみさんがやって来て「ハイ、こちらさんまで」とギリギリセーフ。
1番で並んでいた大学生らしい元気な若者グループは、お行儀よく「納豆うどん(そんなのあった?)」、「しっぽく」・・その他、もちろん「葱うどん」もご注文。彼たちがお会計をすませたのは12時半をまわっていましたから、私の次の方たちは、炎天下でそれだけ日差しの中に居たことになります。

とにかくこの夏の耐えられない暑さをものともしない海外からの観光客で、四条界隈はいつも大混雑。できれば避けたい所ながら、避けてばかりもいられず、バス停で思案しているツーリストにに思わず声を掛けてしまいます。私も旅に出れば皆さんに親切にしていただくのですから・・。例えば行先を尋ね満員のバスが来ても、次のバスがゆったり見えれば、「あのバスでも行けますよ」など、余計なことですね。

花の持つ構造美をアクリルや雁皮紙で表現

坪庭に面して・・

萬屋の「葱うどん」 葱と生姜だけ

アプローチの高砂芙蓉

奥の書院から

ホテル・グランビア前の
特設会場
にて
司会は滞在10年のスザンカさん

隣家の畑に実ったブルーベリー

建仁寺塔頭・両足院

八朔の日の舞妓さん
展示ポスターより

ディスプレーもすっかり秋!

フランス窓の上にあるジャクリーヌ・ゴヴァンさんの額絵
白樺林で薪を集める「秋の天使」
左の絵皿はアラビア社の巨匠カイピアイネン作

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とらやの「氷あずき」小サイズ