爛漫の春

美味しく楽しいランチのあと北野さんを通り抜け、すぐ近くの平野神社へ。普段はおとなしい神社ですが、この季節だけまるで別人のような雰囲気となる桜の名所です。笑顔の人波に溢れ、満開の桜が風に軽やかに揺れています。桜の園のような境内をそぞろ歩き、西大路通りに出たところでF夫妻と「またいつか!」とお別れ。
O先生とは私の念願である「原谷苑」へ。先生は山男だから歩いて行きたそうですが、金閣寺の裏手にある衣笠山を越えて行くなんて無理だから、タクシーに付き合っていただきました。
原谷は戦後に中国からの引き揚げ者が開拓された地であり、昭和30年代に住人の方に依頼されて、造園を営む「村岩」が植樹をしてからもう60年。山あいの盆地のような一帯が時を刻んだ分だけ花を増やして、ふんわりとしたピンクの霞に覆われています。

数種の桜・雪柳・日向ミズキ・レンギョウ・シャクナゲ・椿・マンサク・馬酔木・つつじなど、それが全部咲き乱れ、感動の言葉が途切れる暇がありません。先生も初めての光景らしく驚嘆!数日後に大手旅行社の山歩きツアーでガイドを務めるとのことですから、その頃はもう散ってしまっているでしょう。満開の光景を語ることができるのは実にタイムリーでした。ツアーの下見ということで、来た道とちがい仁和寺へ下りていく先生と別れ、私は西門に停まっている無料のシャトルバスで西大路通りの「わら天神」まで乗せてもらい、北大路に出て山科へ戻りました。

印月湖

枳殻邸

紅梅弁当

お吸い物には大根の薄切りで
季節の花。梅の次の桜でした。

雪やなぎと桜

26日(月)、西陣の奥座敷といわれる上七軒でランチの会。久しぶりにチェロのF先生ご夫妻とO先生との仲良し会です。北野天満宮の東門からも見えるほどの所にある「おかもと・紅梅庵」。北野おどりの開催されている歌舞練場もすぐそこにあります。予約をしていたので坪庭に面したお座敷に通され、紅梅弁当をいただきます。なごやかに会話も弾み、今回初めてF先生の幼少期のことを知りました。京都駅にも近い七条新町を上がったところ、植柳(しょくりゅう)学区に住まわれていたなんて初耳。なぜなら月に1回通う「お灸堂」があるので、熟知している学区なのです。すでに廃校になった植柳小の南には藪ノ内流宗家のお屋敷があり、西に西本願寺、東に東本願寺を控えた情緒のある界隈。F先生は戦前のわんぱく時代に、両本願寺のお堂を遊び場に飛び回っていたというのですから、のどかな時代を感じました。
翌日は休日。アンジュの応援団長のO先生は、この春も非公開寺院のガイドで大いそがし。かねてより伺っていたお当番の渉成園・枳殻(きこく)邸へお花見に出かけます。京都駅からも近いのに、この東本願寺別邸は初めてです。いつも河原町通りを走るバスに乗っては、長い土塀と生い茂る樹木の向こうはどのようなものかと想い巡らすばかりでした。思いきって出かけてみると、なんとも風流な庭園がのびやかに広がり、趣の異なる茶室の幾つかが点在。東山に昇った月を映すことから名づけられた「印月湖」には水草も浮かび、琵琶湖疎水から引き込み造られた池から、小川が優雅に流れる見事な庭園が広がっていたのです。
晴天つづきに早くも桜の花も散りかけて、浅い小川に花筏を作っています。
さて、O先生は何処かと見渡せば、今回特別公開、蘆庵(ろあん)の二階から手を振っているではありませんか。先ずは一階のお茶室に座し、他のガイド氏から「江戸時代に造られたけれど、現在の建物は昭和32年に再建されたもの」と拝聴し、枳殻(からたち)の木が植えられていたことから枳殻邸と名付けられた命名の由来も合点!
狭く手すりも無い階段を上がり、煎茶のお茶室からの眺望にうっとり。O先生のガイドに耳を傾けながら、茶室らしい丸窓からは桜も望めます。吹き込む春の風には、ほんのり花の香が乗せられているようでした。
普段は覗くこともことのできない貴重なお茶室訪問はO先生のお陰と感謝して「またね」。ご門のあたりで振袖を着て写真を撮りあっている、多分中国からの観光客に「TOGETHER?」と声を掛け三人一緒にスマホに収めてあげました。北側の土塀越しに椿を眺めながら河原町通りへ出るとマイナーなバス停なのに観光客も待っています。まったくこの頃京都は多国籍の人々に占領された毎日で、どこの国かと思うほど。確かにロケーションや食事処に事欠かない街ですから、旅人たちの目的は何かと教えられながら、未だに旅人の私も好奇心いっぱいで歩き廻るのです。

蘆庵二階の丸窓から

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三宝柑のゼリー

平野神社

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1月にパリで会って来たカトリーヌさんからメール。
エルメスが新刊とコラボ!やったねカトリーヌ!
好奇心と探求心と実行力に敬服しています。

とりわけ厳しかった冬が去ったと思ったとたん夏日がつづくなど、季節も異常気象の変わり目にあい、驚いた花たちが一斉に咲き始めました。あちこちからの桜情報に浮足立つ日々。今年は念願だった桜の名所に出かけることが出来て大満足。先ずは「背割り堤」。
京都の南、石清水八幡宮のひざ元を流れる木津川と、琵琶湖から南郷の洗堰(あらいぜき)や天ヶ瀬ダムを経て来た宇治川との合流点に中州があり、その1.5kmが約250本のソメイヨシノで埋め尽くされる桜並木は絶景!毎年、新聞各紙がヘリコプターや近年はドローンで空撮をしてくれるので、春ならではの光景は瞼に刷り込まれているほど。京阪・八幡市駅から歩いて15分ほどの広々とした田園風景の中に、昨年見晴らし台も完成し、花どきの賑わいは必至です。

今年こそ行って観ようと思っていると、3月27日(火)にチャンスが訪れました。アシスタントを迎えにご主人が休日とのことで来られます。そこで、そろそろ満開!行こう!となって夕日に向かい、東インターから名神を西へ、大山崎のジャンクションを目指します。夕刻ということもあり、ウィークデーだから混んでいない・・・と思ったのは情報不足で、見晴らし台は4時半までで終了!10分遅かったのです。残念!しかし木津川橋から眺める桜堤の重量感は夢に描いていたとおり。桜のトンネルのような堤も歩きます。河川敷の草が萌え、柳の枝にも新芽がつき始めて春色です。
もう5時、駐車場のクローズを告げるアナウンスがあり、そぞろ歩いていた人々が帰り支度を始めます。西の山並みに夕日が沈み込むのもあと少し。朧な春の夕景に心を預けて見とれました。

さて、ホソカワ夫妻はここからハプニングで洛西を目指します。私の一週間遅れのバースデープレゼントで桂坂にある「赤おに」へ連れて行ってくれるとか。幾つになっても何度でもお祝いは嬉しいものです。再びグルグル回るジャンクションから今度は京都縦貫道へ入り、山あいを縫いながら「大原野」で降ります。桂坂のてっぺんにある「日文研」に併設されているレストランのシェフは、南極越冬隊に二度も随行した方、アンジュの生徒のご主人でもあります。あちこちメデイアで紹介される「赤おに」の『エビフライ』は絶品!予約もせずにいきなりの訪問でしたが、北田さんは我ら三人を特別室に案内してくださって恐縮。到着したときにはもう暗くなっていて、標高も高いですからひんやりとしていましたが、北のガーデンには桜がライトアップされていて、思いがけず「夜桜」にも遭遇でき、幸せな夜となりました。

日向ミズキ

シャクナゲ

3月から東京と京都の
クラス全員で創ってきた
タペストリーが完成。
3・11追悼の7作目です。
天使と花のモチーフを
繋ぎ合わせています。

175×183cm

ほんの一瞬だけ、束の間の春を存分に味わったつもりでいます。
皆さまはいかがお過ごしでしたか。アンジュではアトリエの藤も半月ほど前倒しで咲始めました。おかげでいつもはGWでレッスンのお休みどきに眺めていた藤とハナミズキを、今年は皆さんにも見ていただけてとてもラッキー。
休眠していた樹木が目覚め、草花も日毎に背丈を伸ばして新緑の季節となりました。アンジュは新学期に入って何かと気ぜわしく、またちょっと掛かりきりになる仕事を抱えていますので、しばらくブログを休みます。気温の乱高下も体力を奪いますから、くれぐれもお体ご自愛ください。See You!     asako 2018・4・21

朝日新聞・京都版
2018・4・3 ”ソラドリ”から

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傍花閣

背割り堤の桜

原谷苑

洛北にあるさくら苑
桜の時期は有料

タペストリー 『3・11を想う Ⅶ 万華鏡』 2018 春