29日は来日中のシルヴィーさんとのランデブー。5月にオルレアンに出かけ、ロアール川沿いの二泊三日ドライブ旅をしているときに、「来年の秋には京都で展示会を催す」と話していたのを聞き間違えたのでしょうか、「展示会を観たい」というので、「大きな展示会は来年だけど丁度小さな作品が・・・」と言ってご案内。一か月も滞在していて私よりよっぽど日本各地に精通しているシルヴィーさん。清水寺の大混雑に目を回しながらも展示会と紅葉の光景を楽しんでくれたようです。
その後、前日も下った三年坂と二年坂から「ねねの道」を経て八坂神社・南門にある「中村楼」の蔵カフェへ。45年も前に京都に来た頃、料亭の入口のおくど(かまど)さんのある茶店のようなところで田楽弁当をいただいたり、その後奥行きのある広いお座敷で法亊あとのお食事会をした記憶がありますが、敷地は半分になり世代も交代のようで、閉ざされていたお蔵がカフェになるなんて・・・。でもあったかい「湯葉丼ランチ」は美味しいものでした。
ほっこりしたあと、八坂神社を抜け、石段下から祇園北側を鍵の手に通り抜け、白川にかかる新橋を渡って(ここまでも着物姿の観光客がいっぱい)、鴨川に出て三条大橋。西の河原に下りて北へ。二条大橋をくぐり「リッツカールトン」の北で疎水をまたぐと河原町通りもすぐそこ。
毎朝のように河原を散歩するシルヴィーさんの勝手知ったる界隈です。次男のセヴァスチャンがオーナーの「モリーズ ホステル」は、河原町と寺町の間の細い通りに面したお洒落なホテル。ここでセヴァスチャンに出会って、シルヴィーさんを送り届けます。

もうここまでどれだけ歩いたことでしょう。でもこの日、京都御所の迎賓館は一般公開日。行ったことが無いので良いチャンスです。しかしながらいささか疲れ「河原町丸太町」から「府立病院」まで二駅バスに乗りました。チョイ乗りも気軽にできる京都の「敬老乗車証」は本当に便利。
バス停から西へ向かうと「梨の木神社」。久しぶりの京都御所です。「迎賓館」は行列に並ぶこともなく入館。どこも混雑してなくて良き鑑賞日でした。外遊先で早世されたきりがね作家・江里佐代子さんの作品をゆっくり拝見することができました。
外に出ると御苑はまさに紅葉の頂点のような光景です。写真を撮りながら広い御所を堪能して寺町通りに戻り、寺町丸太町の角にできたカフェ「李青」の二番店へ立ち寄りひと休み。「なつめ茶」と小ぶりのフルーツケーキに癒され、寺町御池まで歩いてこの日のWALKは終了。


年の瀬雑感

11月末、清水寺境内にある圓通殿において『藝展』が催されました。東京のイベント会社主宰によるもので、8月にはロンドンでの「アート展」にも舞妓さんをテーマに出展しました。アート作品が海外の方々に鑑賞される機会は滅多にないことで、オファーを受け承諾したものですが、例え70センチ角内とはいえレッスンをしながらの制作は大変でした。
そこで次のオファーが来たとき、心の中ではお断りしようと考えながら、「一日考えさせてください」と申し上げたのです。しかし電話を切ってから、「チェコとの国交100周年記念で京都とプラハで展示」という内容に、一枚の絵が浮かんでしまいました。それはプラハの街に佇む舞妓さんと、カレル・チャペックの愛犬「ダーシェンカ」に似たテリア犬とのひとコマです。街灯も描きたく『薄暮のプラハ』なんてタイトルまで浮かんでくる始末です。こうなったら制作しないわけにはいきません。アーティストのサガでしょうか。いたしかたなく参加をすることになり、猛暑のころから取り掛かり約二か月。
その作品が展示されたのが、紅葉シーズン真っ盛りの11月末。28日は初日でレセプションがあり、友人と混雑する清水坂を登りました。会場は山門から左手に少し下りた清水寺の講堂のようなところ。約100点ほどの手法も分野も異なるアートの文化祭?全国から参加されているようです。
レセプションでは毎年「今年の漢字に選ばれた一文字」を筆で書く清水寺・森貫主のお話しと二人の舞妓さんによる京舞が披露され、間近で立ち居振る舞いを観ることができて幸いでした。なぜなら「京都との姉妹都市」9枚を仕上げ、「3・11を想う」タペストリーも来年で10枚になるので区切りとしたく、その後はひとりで小さめの作品を制作しようと考えていたのですから「舞妓さん」シリーズのモデルに願っても無い好機だったのです。



しかし、ここ何十年か行楽シーズンには近づかないようにしていた清水さん。それなのに二日続けて清水坂を登るとは・・・。

2019年も暮れてゆきます。政界も自然界も多事多難な一年でした。
まっとうに生きている人々が穏やかに暮らせる世の中を築こうという意志が全く見えない政治家にも呆れるばかりです。
一昨年、スエーデンのストックホルムで、あのノーベル賞の晩さん会が開かれる市役所を訪ねた折、天井の高く美しい議会室を通りました。昼間でしたがひと気のない静けさに「今日はお休みですか?」と、現地のガイドさんに尋ねると「議会は夕方から・・」と意外な応えです。議員さんたちはそれぞれの仕事を終えて、各職場の問題を抱えて議場に集うのですね。ですから消費税25%でも福祉や教育、医療に手厚い政策を国民は納得し、レベルの高い暮らしを謳歌しているのです。
税金で桜を見ながらハシャグどこかの国とは大違い!しかし日替わりで不祥事が起きて桜も霞む師走ですが、アフガニスタンで尊い命を奪われた中村哲医師のご冥福をお祈りいたします。展示会をさせていただいたことのある広島と熊本のギャラリーのオーナーさんたちはペシャワール会員でした。私自身、京都のノートルダム女子大学での講演会に伺ったことがあり、銃撃を受けたという一報に衝撃を受けました。
来る2020年は、地球上の誰にとっても悲劇という言葉と無縁でありますように。

庭に来て遊ぶメジロ

晩秋のアンジュガーデンにて

シルヴィーさんも見てくれて・・

清水寺から東山の紅葉

江里佐代子さん作の板戸

舞妓さんと・・

・・・・・

12月18日(水)二年ぶりに「ワンデーオープン」。待ちわびてくださっていた懐かしい人々に再会!クリスマス仕様のアンジュアトリエで、初めて訪れた方たちに出会えるのも喜びです。清水寺での「藝展」ともどもお出かけくださった皆さまに心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

本日で仕事納め、アシスタントとアトリエの大掃除をして
爽やかに新春を迎える準備をしています。
ではお風邪などに気をつけて、どうぞ良いお年をお迎えください。
 
                    2019・12・27 asako 

錦秋の京都御所

カフェ「李青」 なつめ茶とフルーツケーキ

クリスマスの日 アンジュ・ガーデン

額絵『薄暮のプラハ』70×55cm