さて、昨夜下見した空き地でまずは1枚をパチリと撮ってから、アンボワーズ城に向かってGO!パーキングの場所も心得ています。お邪魔するアンボワーズ城へは石畳のカーブする急坂を登りますが、馬車もこのような道を行き来したのでしょうか。登りきると、さすがに高台からは真下を流れるロワール川が見渡せ、ここが浅瀬の要所であったことが一目瞭然。税を取り立てたり、良からぬひとの往来を遮る砦の役目も持っていたようです。
お城自体はあまり特徴もなく、栄光の頂点にあったのは、母の居城であったアンボワーズで育ったフランソワ1世が即位したころで、1515年12月にレオナルド・ダ・ヴィンチを招き、約1キロ離れた「クロ・リュッセ」の館に住まわせました。城と館の間には地下道があるという。1519年にダ・ヴィンチが亡くなった際には、フランソワ1世が、亡骸を抱えている絵画が多く遺されていることから,大切な客人であったにちがいありません。イタリア人のダ・ヴィンチがフランスのアンボワーズ城内にある教会で眠っているとは知らぬことでした。

MONTORESOR 城
モントレゾール

初夏のフランス旅 Ⅲ

さて、午後はいよいよ「バラの村」へ。ドライブをはじめてからどこでもバラが咲いていて、ジャストシーズンと喜んでいましたが、アンボワーズから南東に向かったシジニという村には驚きました。いくつも森を抜けてたどり着いた村は、20年前に村おこしでどの家もバラを植えるアクションが始まったそう。
一軒だけあるパン屋さんがメレンゲを観光客用に宣伝している以外はひっそりとして、そぞろ歩くのは村外のひとばかり。でも美しい家ばかり。薔薇の種類も様々で良く手入れもされています。ぐるっとひと周りしてパーキングを探す間に、「わあ、ここ!」と持参したニットの一枚の撮影場所が決まりました。そして来年の秋に出版予定の本の表紙にもいけそうな写真となりました。

アンボワーズの旧市街

クロ・リュッセはミュージアムとなっていて、ダ・ヴィンチの寝室やアトリエなどが見学でき、往年の傑作もレプリカが展示され興味深い。庭も広大で池や川があり、森のような生い茂る樹木に囲まれていて、最晩年のダ・ヴィンチはやすらぎを得ていたことでしょう。

さあ、旧市街へ戻ってランチです。なんとビゴの店はパリではなく、ここアンボワーズに一軒あるのみ、日本で創業されたビゴさんは、本店のオーナーの従弟だったそうです。美味しそうなメイン料理にもちろんケーキもいただきます。古めかしい店内ですが、やはり人気のお店らしく人波が絶えません。

ロワール川に掛かる橋を渡り、シルヴィーさんは、私が持参プレゼントしたミシュランマップを取り出して、どうやら方向が分かったみたいです。川を背に北に向かって一路今夜の宿へと走ります。麦畑の広がる緑の中をおよそ20分、ちいさな坂を下ると小川、また土手を登って左に曲がると到着です。
かってブルンヌ駅のあった名残りの駅舎の前、レストランの裏手で洗濯ものの子どもの靴下を、パンパンとたたいている30代後半?の女性にシルヴィーさんが声をかけていると思ったら、その方がホテルのオーナー夫人ってびっくり。とっても家庭的。オーベルジュって食事もできて泊まれるお洒落なところと考えていたので、拍子抜けするやら気取らずにすむのでホッとするやら・・・。
宿泊は斜め前の坂道のさきに見えている煉瓦づくりの3階家。気のいいご主人が案内してくれます。ホテルに向かう前に「どこでも撮っていいですよ」と、おかみさんが声を掛けてくれたのは、私がニットの撮影がしたいと言っていたので、事前に伝えてくれたシルヴィーさんのお陰です。
シルヴィーさんは1階、私は2階、おそろしく古めかしい100年前の建てもの!、おまけに2階の部屋の鍵はコツがあるらしく扉を持ち上げる練習をさせられました。でも部屋は豪華といっても良いくらいゴージャスで、水回りは超現代的。
さっそく玄関まえのアプローチから石段を下りて菜園と花壇のある庭を散策。東側は低い垣根の向こうが開けていて、緑の道が並行にどこまでも続いています。きっと線路のあとでしょう。その向こうに小川、車で渡ってきたブルンヌ川です。川の名に由来した駅名で、ホテルの名前でもあったのです。
ベストを2枚、ヒマラヤ杉の松かさをバックにしたり、物置小屋の剥げたペンキの窓枠に下げたりしながら撮りました。

シュノンソー城からさらに西へ走り、アンボワーズに到着。市街地に入るころから斜面には崖を掘った家の跡が見られ、現在も居住している気配があり城下町の歴史を垣間見る光景でした。
本日の宿はアンボワーズ郊外にあるという。この度のプランをシルヴィーさんと考え始めたとき、、ロワール川に沿ってお城巡りをしてはオルレアンに戻るより、どこかで2泊しませんか?と提案しました。即座に「それは良いアイデア!」と返信があり、ネットで調べて探してくれたプチホテルって無茶苦茶楽しみです。
この旅はゆったり過ごしたく、一日にたとえ少しでも編みものをする時間を作りたくて、取り掛かり始めたタペストリーの「天使のモチーフ」部分の糸を持参したのに、肝心の針を忘れてしまったのです。どこかで調達できれば幸いと思い比較的大きな街だというアンボワーズで探索開始。
パーキングはロワール川沿いの土手にあるらしく、のっぽのポプラの樹の下に・・。旧市街の案内所でメルスリー(手芸店)を尋ねると、そう遠くない細道にあるらしい。行ってみるとなんだか下着のお店。それでもシルヴィーさんがニットの針があるかと聞いてくれると、ひと握りの束を見せてくれました。全て硬質の素材で竹針はなく、おまけに求めている5号サイズはなくて、どういうわけか4・6・8号に相当するものばかり。日本では考えられない品ぞろえに唖然です。
気を取り直し旧市街を歩いてみます。アンボワーズ城は明日見学なので行きませんが、石畳のショッピングストリートを抜けると、見上げるほど近くにお城はあって、街城なのですね。おっと、立ち止まった角にあるのは「ビゴの店」ではありませんか。神戸で発祥したあのビゴのパンの姉妹店でしょうか。とにかく明日のランチはここで決まりです。

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昨日は琵琶湖の花火、そして今日「夏期補習」が終わりました。
「フランス旅」はまだまだつづくのですが、いちおうここまでで夏休み、
8月末に再開させてください。
猛暑とたくさん発生する台風にも気をつけましょう。
ヨーロッパも高温と干ばつでロワール川も干上がり、穀物も実りが悪いそうです。
気候変動の影響が出始めた地球、穏やかにと願いながら温暖化防止も必須ですね。

どうぞお元気で。    asako 2019/8/9    

サンセットと競争しながらホテルへ戻りました。

DON JON LOCHES城
ドン ジョン ロシェス

アンボワーズ城からロワール川と
旧市街を眺める

菜園の壁際に咲くバラ

アトリエ

クロ・リュッセ  ダ・ビンチ終の館

クロ・リュッセからアンボワーズへの道で

ビゴの店でランチ、もちろんデザートも。

城外の家はとても古く、バラたちが
絡みついて得難い風情。

午後の木陰がとっても涼やか。

バラの村にて

他にもあちこちで撮って、菜園と花壇のある教会を訪ねたら、ニワチリ小屋やうさぎ小屋もあって、テラスでカフェもオープンというすぐれものでした。しかし雲行きがあやしくなり、雨もポツポツ降りだしたので、車に急ぎます。今まで見たことの無い光景とはこういうものなのでしょうか。連れて来てくれたシルヴィーさんに大感謝。私の感激ぶりにあそこも行きましょう!。とまたどこへやら・・・。あと二つ中世のお城を巡り、アンボワーズに戻ってデイナーのあと、サンセットと共にホテルへと戻ったのです。   つづく

ホテルのガーデン。
菜園と花壇が広々。

ジャーマンアイリスが
花盛り。

「ジアン」の器でデイナー

さあ、デイナーへ出かけましょう。表通側からみると中々お洒落です。お客さんも数組います。女将さんは裏のベランダでお見かけしたときと大違い、黒いパンツスーツでパシッと決めています。どうやら評判の良いレストランのようです。
オルレアンの東にあるという陶器の「ジアン」。好きな陶器のひとつであるジアンが、とても身近に感じられます。すべてその器で運ばれてくる前菜・メインデイッシュの美味しいこと。「良かったね」と、一日のドライブにも感謝して乾杯!
食事を終えた9時でもまだ辺りは明るく、すこし村を散歩します。商店があるのかないのか、静かな村に場違いな高速道路の音が聞こえる方へ曲がって行くと、鉄製の柵と門扉だけが寂しく残された草むらの空き地。その門扉はニットに合いそう。明日の出発前に立ち寄ることにします。
来た道を戻って坂を下りるとブルンヌ川。橋を渡り虫の声を聴きながら、夕暮れていく非日常の景色の中で幸せでした。

オーベルジュ・ブルンヌ

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BIGOT(ビゴ)の店、ロワール川に向かう通りを挟んだ右手にアンボワーズ城.
お城の真ん前にある。(これは28日21時 クローズ後、散歩中に撮影)

朝露が眩しいカラー、ホテルの庭で。

DON JON LOCHES 城へ行く道で。

お城から見渡す村の家々

5月28日、朝食はお手製のジャムに驚きます。オレンジ・イチジク・キウイ・プラム・アップルなどなど。「今夜はレストランがお休みで申し訳ない」とのこと。アンボワーズのレストランを教えていただき予約をお願いしておきます。

アンボワーズ城

広大なガーデン

右手がレストランの裏手、左はオーナー一家の住まい、
石段を上がったテラスで洗濯ものを干していた女将さん。

シルヴィーさんのニッサンの後ろの木立奥がホテル

築100年のホテル、アプローチの奥にある
石段を下りると庭が広がっている。