右手の丘に聳えるサン・ジヨルジュ城

快晴なのにテージョ川沿いは風が強く飛ばされそう。「ベレンの塔」は、ここからヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を発見する航海に出発した記念に建てられたもの。次は「発見のモニュメント」。エンリケ航海王子をはじめ、ヴァスコ・ダ・ガマや芸術家、宗教者など30名の偉人たちが海に向かう姿を、それぞれコンパスや海図など自らの職業を表す小ものを抱え、新大陸発見への野望を眼差しに宿らせた力ある群像モニュメント!1940年の国際博覧会に出展するために象徴として造られ、エンリケ航海王子没後500年を記念して1960年に再像されました。

振り返るとそこは横に広がる白亜のジェロニモス修道院。16世紀にヴァスコ・ダ・ガマの海外派遣によって得られた巨額の財産で建てられた世界遺産。中庭に面した一階には大食堂があり、壁のアズレージョが見事です。中世に造られた中庭には、四隅のどこかに手水のような水場があり。その近くには必ず台所や食堂があるそう。食事前の手洗いができて合理的ですね。
二階へのゆったりとした階段を上ります。ポルトガルではポルトでもコインブラでも大聖堂やミュージアムを訪ねる際には現地ガイドが必ず付きます。これはあちこちの国でも同じで、予約やチケットの手配などの仕事を手際よくしてくれて、ガイドの仕事を確保するためでもあるのですが、いずれの街でもYさんの仲間のような気のおけない方たちでした。リスボンのガイドさんがちょっとどこかへ行かれたので、これはチャンスと中庭の見える明るい場所にみんなで集います。

実はポルトから案内していただいたYさんはこの一月にご主人を見送られたとのこと。気丈にされていたけれど、まだ49日もすまされていないのではと思ったことから最後にお花を渡したいと考えていました。しかしリスボンに着いたのは夕刻で、街から離れたホテル、しかも日本のホテルのようにフラワーショップがあるわけでもなく、そこで皆さんから5ユーロずつカンパを募って、ご主人へ手向けていただけるお花代とさせていただきました。ポルトの本屋さんで絵葉書を買ったときに入れてくれた素っ気ない白い紙袋にメモ書きをして、この旅でありったけのポルトガル学を伝えてくれようとされたYさんに、お礼を申し上げてからみんなで輪になって気もちを手渡しました。
3月の半ばにはお母さんのご法事で大阪へ里帰りと伺いましたが、このコロナ騒ぎでどうされたでしょう。あちこち旅していますが、印象に残る名ガイドさんでした。もちろんその後バスで市内をぐるっと回りながら見どころをあれこれ教えてくださり、いちばんの繁華街近くでお別れしました。

菜の花と桜 音羽川にて

床のタイル

ジェロニモス修道院

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チャイニーズの賑やか集団のいない「亀屋良長」。
うすいピンクの柔らかい皮に包まれた「うららか」という上用、
中の漉し餡にはつぶした栗も・・。
醒ヶ井のお水も錫の器に入れられて美味。ほうじ茶と。

ガラスの天窓の
美しい吹き抜け

貴族の館の中はブテイック

アルカンタラ展望台より

2020 ポルトガル・モロッコの旅 Ⅲ

発見のモニュメント

コロナの感染が止まりません。優柔不断な政府により感染者は倍々ゲームのよう。アキレ夫人をコントロールできないのだから国民を守ることなど無理なことだと、みんなで諦めムードだけど、命に関わることなのだからキレキレの判断を乞い希います。
アンジュも4月5月と休講を決断しました。自由登校日も設けながら手探りで、先の見えないコロナと闘わなければなりません。
一日も早い終息を祈る日々、皆さまもご用心のうえ、くれぐれもお大事にお過ごしください。
3月末から昨日まで、数少ない春を撮りました。心を休ませていただけますように。asako    2020・4・4

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ここから二つのグループに分かれてフリータイム。ちょうどランチの時間です。ひとつの目的である手芸店が並ぶコンセイザオ(と読むのかしら?)通りを目指して南下していると、幾つか横の通りには傘を広げたテーブルが並んで各レストランの青空テラス。南西角の洒落たレストランを見ると、陽気なオーナーらしき方がウインドのフルーツをディスプレィしているところ。外のテーブルにはグリーンと白のチェック柄も粋なクロスが掛けられ、しかもビニールでなくコットンの手触りが気に入りました。オーナーも外に出て来て手を広げ「ウエルカム!」、入らないわけにはいかないでしょう。でもこれが大当たり!雑穀パンにペーストやチーズと白ワイン、海老とタコの美味しいスープ。思いがけないご馳走に添乗員とアシスタントとSさんとの4人組は大満足!まだリスボン的には時間が早いらしく貸切状態のお店でゆっくりくつろぎ、また行きたいレストランとなりました。

さて、南へもう少し行くと突き当り、その向こうはもうテージョ川でしょう。そこが目的の通りでした。手芸屋さんてどこ?と歩けば、なんとここも隣りもそのまた隣りも同じような年期の入った手芸店。しかもいずれ劣らずオーナーは70・80代で今にもクローズがそこまで迫っている感じ。でも各店とも覗いて見ると愛着のあるお店で、高齢のオーナーが応対する姿は尊いものに見えました。
ひとつのお店で目的のボタンに近いものを見つけゲット!娘さんらしい40代くらいの方が、日本から来たことを喜んでくれました。メールアドレスのあるカードをくださったので、ここはまだまだつづくかも知れません。

さあ、トラムを避けながら丘の上のサン・ジョルジュ城へ向かう手段を思案。バス・トラム・・・と考えていると目の前にトゥクトゥクのようなオープンカーが止まって、威勢のよさそうなお姉さんドライバーと目が合いました。乗るっきゃない!ちょうど4人乗り。石畳の狭い急坂をぐいぐい登りながら何か言ってます。英語でガイドしてくれているようだけど、ガタガタの石畳で、しかも曲がりくねった坂道なので降り落とされないようにしているだけで精一杯。あっという間に到着です。「あァ面白かった!」と言いながら城址に入場。高台ですからリスボンの街を見渡せます。城址をぐるっと回っていると何やら大きな声、聴いたことのない正体に近づくと、それは大きな樹に群れていた孔雀たち。半端ない数の美しい雄たちが雌への求愛劇を繰り広げているところでした。観光客の足元を気にもせず優雅に歩きまわってもいます。珍しい光景に出会った私たち。

終着駅の左手が「アルカンタラ展望台

道幅を広げず
あるがままに走り続けるトラム

ジェロニモス修道院の中庭

3月5日(木) ホテルの窓から花ずおうの濃く赤い花が見えます。マリオットホテルはリスボン市の外れにあって、近郊にある空港へ着陸する航空機の爆音も風向きによって聴こえてきます。いよいよリスボン!ガイドのY女史も自宅からご出勤。午前中だけ市内観光のガイドを務めてくださいます。
まずは通勤ラッシュが始まった市内をすり抜けて南端の河口近くにある「ベレンの塔」までの6kmを小型バスで向かいます。リスボンはコンパクトな街と考えていたのに、結構目的地までの距離があり意外。

丘を下るのは373番のバス。あっという間に振りだしの広場まで戻れました。次はいよいよ行って見たかった「プリンシペ・レアル」。高低差を軽減するために造られた古めかしいサンタ・ジュスタのエレベーターを見ながら、ロッシオ駅近くにある山吹色と白のケーブルカーで急こう配を登ると、そこはサン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台。『消臭力』のコマーシャルでロケされたところとのこと。見晴らしがよく、行って来た「サン・ジョルジュ城」もはるか右手に見えます。
ここから「プリンシペ・レアル庭園」を目指し、その前にある貴族の館が目的です。すると、私よりガイドブックに精通しているアシスタントが、「この辺りにあるのでは?」と行きたかったカフェを探します。ありました!三叉路の角にあるカフエは、アールを描く店内でおいしそうなパンやケーキが並んでいます。ひと休み決定!街の人たちが日常的に立ち寄る老舗カフェでもあるようです。
プリンシペ・レアル庭園は、高台の高級住宅地にある緑に囲まれた憩いの場。その向かいに並ぶ海洋時代の船主たちの館であった?のがマンションやショップに変貌し、「プリンシペ・レアル」は2階建ての小さなショッピングモールです。玄関を入ると吹き抜けの広間があり木の手すりの階段を上ります。吹き抜けの回りには居室が囲んでいて、そこに様々なブティック。先ずお邪魔したのがエコな化粧品のお店。ドイツのドクター(女性)が監修する信頼感のおけそうな品々が静かに陳列され、私は必需品の(いつもは空港で求める)ルージュなどを探し、同行の2人は良さげなハンドクリームなどゲット。
隣りの東南の角部屋は若い人向けの洋服やアクセサリーのお店となっていて、二面にある縦長の大きな窓から見える眼下のロケーションに感激!思わず「毎日幸せね」と可愛いい店員さんに言ったら、にっこり笑って頷いてくれました。帰りがけ添乗員のU氏も加わって、玄関の間でイケメン青年が売っているハーブ石鹸を皆さん爆買い。お客さんの絶えない花屋さんもあり、お洒落で楽しい隠れ家的な館でした。

もう夕刻、雨も降り始めたので街へ戻らず、北へ坂道を下りながらウインドーショッピングをして広場でタクシーに乗りホテルへ戻りました。

家の近く、「西本願寺山科別院」脇を流れる四ノ宮川

老舗カフェ

春のいっぷく

サン・ジョルジュ城から
テージョ川を望む

柔らかいタコやエビの海鮮スープ

お洒落で美味しいレストラン

大食堂と
壁の花柄アズレージョ

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LISBON

トゥクトゥク風?

古めかしい手芸材料店

プリンシペル・レアル庭園

ガラス張りのカフェ

リスボンの街並み バスの車窓から