池で遊ぶカモ

さて、この府立植物園が今揺れています。京都府が薦めているとはいえ東京資本による北山エリア一帯商業化計画により、北山通と西側の賀茂川沿いの遊歩道に向かって、カフェやレストラン、ショップなどが出来、そこから入園も可能という無謀なものです。また子どもたちが走り回って遊ぶ「大芝生」には野外ステージを設け、コンサートも可能というとんでもないもの。
たしかに広大な敷地です。目にふれないバックヤードもありますが、そこには希少植物育成も含めて重要な場所です。当然、植物園を愛する人々による反対運動が広がりを見せています。現在、東西南北にある門に加えて、どこからでも入れるようにすれば入場者は増えるでしょう。でもそれはただの公園です。大正13年開園の長い年月において、戦後は進駐軍の宿舎も点在していたという歴史もあり、今の姿に育てあげてきた幾多の努力をことごとく踏みにじる愚策としか言いようがありません。
アンジュのブログの第2号(2008年5月)で書かせていただいた、当時も今も名物園長と呼ばれている第9代の松谷氏は、歴代の園長とともに「植物園の花は咲いているのではなく、実は咲かせている。府の計画は植物園本来の姿からかけ離れている」と専門家として苦渋の反対意見を会見で述べられました。『園長と気まぐれ散歩』や桜の時期の『夜間ライトアップ開園』など、植物園を愛する府民へ向けて数々の企画をヒットさせた植物学者からの悲痛な声を、言い出しっぺの京都府は重く受け止めてほしいと願っています。


北山門から入園、料金は大人200円、私は京都市の敬老乗車証を持っているのでフリー(70歳以上であればどなたも無料)。噴水の手前でコスモスが出迎えてくれて、ワイルドガーデンにはサルビアも植えこまれています。今回は南へ下がって竹林を抜けてバラ園へ向かわずに、西から大きく回ります。
北山通の騒音を遮るウバメガシの手前には椿園。他では見られない椿たちに出会えるのは年明けからでしょうか。今はまだ蕾も固く静かな一帯です。
針葉樹林の木陰にあるベンチでひと休み。見上げるようなメタセコイアに囲まれて森林浴。

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  秋を探して Ⅱ

地下鉄に乗って出かけるときは
肩のこらない文庫本を持参。
この日は『パリのパッサージュ』
18世紀からパリの街に出現した
ガラス天井つきのアーケード。
その栄枯盛衰を語るもの。
行ってみたい・再訪したいところなどを
チェック!

久しぶりに植物園に行きました。10月初旬の京都は高温がつづき、はたして秋らしい光景に出会えるかと期待半分。地下鉄・北山駅で下車、北山通を西へすこし歩いてみます。
左手の鬱蒼とした見上げるようなウバメガシは、植物園を象徴する延々とつづく大垣根。通りの北側に並ぶのはケーキの「マールブランシェ」や美味しいパンの「ブリアン」、そして手芸の「ドログリ」など北山らしいブティックも残っていますが、およそ30年前にすぐき畑が消え去って、そこにお洒落なショップが連なり始めたころは憧れの界隈であったこともあり、今は昔とちょっと寂しさを感じるものがあります。

数年前に開門した「賀茂川門」の近くには「四季彩の丘」。以前は大きな水ガメにスイレンが並べられていただけの寡黙なコーナーでしたが、西洋庭園のように整備されてお洒落な一角となりました。小高い丘にはススキがまあるく空に向かって弧を描き、風にキラキラ揺れています。気の早い桜は紅葉して葉を落とし、季節が進んだことを教えてくれました。
温室前から「大芝生」をかすめてネズミモチの林を抜け「クスノキ並木」へ。昼でも薄暗くいつもうっとりするほどの長~い並木道を横切るとバラ園ですが、やはり半端な時期で初夏のようなバラたちの華やぎがありません。
数年前の台風でたくさんのダメージを受けた植物園。その中でも無残な姿となった「ヒマラヤシーダ」の巨木は、やはり元の姿には戻れないようです。

セージやサルビアが優しい一角

八重のコスモス

北東の角にある「四季彩の丘」
木立の向こうに賀茂川、
手前の小池にはオニバス

左手は植物園のウバメガシ 北山通にて

南の正門近くにあるクスノキ並木 通り抜けた右手にバラ園など

府民だけでなく、遠方からの来園者も多く、訪れる人々の憩いの植物園。
このままそっとしておいてほしい。
この日は正門から賀茂川へ出て、河川敷を北大路橋に向かい、烏丸通り角にある
地下鉄・北大路駅まで歩きました。汗ばむほどの陽気でしたが、ゆっくり散策でき
たことが幸いでした。
なによりコロナ禍で閉園もされていて、待ちかねていた人たちの解放感に満ちた笑顔に
出会えて嬉しかったです。

そろそろ涼しくなりそう。寒暖の差に気をつけて過ごしましょう。お元気で。

asako 2021・10・14

東には比叡山が望まれる