宗陶苑の登り窯

reign hotel のモーニング

師走も足早で、寒くなりました。今年の秋は猛暑から冬へと一直線と思っていたのに、意外と秋晴れが長引き、おかげで紅葉の見ごろも師走にかかるまで楽しめました。
晩秋の京都へ親友がやって来ました。パリの里美さんが二か月の里帰り中です。「東寺の弘法さんに行きたい」という希望を聞き、一泊の小旅行をプラン。11月20日(日)「朝11時8分山科着の米原発、最後尾に乗っててね」と約束し、東から近づいてくる新快速を待ちます。12号車に乗っても「アサコさーん」という声も聞こえず、ちょっと心配。でも多分、途中の野洲あたりで後ろ半分が増結されたのだと思い、京都駅までの5分をハラハラ過ごします。二人ともスマホを持っていても普段は不携帯者ゆえ、お互い鳴らさずじまい。京都駅に降り立つと、向こうの方から里美さんが駆け足でやって来ます。「ああ良かった」。里美さんは「私も途中で後ろに車両がくっついているのでビックリ!」とくったくなく、パリで会ってから二年半ぶりの再会を喜び合いました。岐阜県大垣市郊外の中山道沿いにあるご実家から、米原乗り換えで来られたのです。
ランチを予約した大原の「野むら山荘」を目指します。一度は訪れたかった料亭です。地下鉄南北線で終点の「国際会館」まで乗車。日曜日で紅葉目当ての観光の方が多いかと混雑を警戒していましたが、カラッポと思っていたタクシーも停まっていて大原街道の渋滞もなく、予定より早く到着。里山の奥座敷のようなたたずまいに見とれます。
紅葉のジャストシーズンに出会ったようで、ふたりで紅葉を借景に撮影会となりました。修学院離宮近くにあったお屋敷を移築され、はじめは料理旅館をされていたようですが、今は料亭のみ。増築された広くて長い廊下を進み、案内されたお部屋は東の庭に面しています。駐車場には外車がたくさん並んでいたのに、話し声が聞こえず、ゆっくりお料理を味わいながら積もる話に花が咲きました。
お土産も交換し合い、パリからトランクに詰めてきてくれた大好きなスーパー「MONOPRIX モノプリ」のエコバック、日替わりで使えそうな新柄の数々。アフリカの布で作ったトートバック。以前キエフで見つけたという陶器の天使etc・・・。歓声を上げてしまいます。そして静寂の中で美しく美味しいお料理をいただけることは、コロナ禍であればなおさら得難いものでした。

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大原・里山風景

パリから持ってきてくれたハートのオーナメント

晩秋から初冬

信楽の狸さんたち

大原・野むら山荘にて

ミホミュージアムのエントランス

冬のバス旅

弘法さんの植木市

つづく12月3日(土)・4日(日)は、「雪のSL写真展」をアンジュで開催。久しぶりの一般開放により、見知らぬお客さまたちをお迎えして意義深い二日間となりまし。告知欄にて内容はご確認ください。
寒くなりました。お風邪など召されませぬように。

2022・12・10   asako

宇治田原・小山園 冬の茶畑

    山科→滋賀・ミホミュージアム→信楽・宗陶苑
   →宇治田原・小山園→宇治・中村藤吉本店→山科

師走に入ってすぐの2日、アカデミーの生徒や、そのご友人など15名でバス旅に出ました。
とにかく行きにくい「ミホミュージアム」へ行ってみたい方も多く、三回目ですが私もそのひとり。
ちょうど「中央アジアの至宝展」開催中。あらためて宗教法人の財力を示されます。でも地球の宝物を身近に観ることができるのは良しとしましょう。レストランのランチは自家製のお豆腐が超美味。周囲の山々も紅葉の見納めどきでした。

信楽で一番大きい登り窯を持つ窯元は、NHKの朝ドラ「スカーレット」の舞台になりました。階段状の一番奥の窯には、高さ2.4mの巨大な狸さん何体も並ぶほどの大きさでビックリ!

お茶の「小山園」は、茶畑テラスのある見晴らしの良いところ。併設のお洒落なショップで挽きたて抹茶ラテの美味しかったこと!JR宇治駅近くの「中村藤吉本店」ではお茶やお菓子のお土産選び。楽ちんでアートと美食を味わえるバス旅って楽しいことを再実感した一日でした。

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三千院近くの小川と落ち葉

細道を下りきって、大原のバス停から始発に乗車し河原町三条で下車、「丸善」に寄り探していた本を見つけます。地下二階分「丸善」の入っていBALビルはお洒落なブティックも多くて、さっそく里美さんは麻で織ったシンプルな黒いワンピースを見つけました。着たいものに出会えることはラッキーなことです。
バスに乗って四条烏丸近くで、生姜の効いたあたったかい「湯葉あんかけうどん」でディナー。「美味しい美味しい!」と里美さんは完食!喜んでくれてよかった。

宿泊は昨年も大阪の友人と泊まったことのある十条の「REIGN HOTEL」。翌朝、弘法さんへも徒歩で行ける範囲です。全国旅行支援で割引があり、おまけにクーポンつきですから、早くに申し込んだのですが満室でシングルがとれずにツインルーム。でもおかげでゆっくり語り合いながら夜を過ごすことができました。


21日(月)このホテルで外せないのがモーニング!デンマークスタイルで蓋つきガラス瓶に閉じ込められたサラダなど、フレッシュなジュース類、オープンサンドをバイキングスタイルで選べます。
9時半、大満足でさあ出発!河原町十条から九条大宮まで、あみだくじのように西北へ上がって行きます。昔ながらの街並みもあり、細道を巡りながらほんとに小さな昔の家を見つけては立ち止まり、愛おしそうに眺める里美さん。そんなとき想い出すのは、ニューヨークからプリンスエドワード島へ旅した折に、途中カナダのハリファックスでトンガリ帽子のような屋根の小さな家をスケッチしていた姿。その後絵本に登場しましたが、愛しいものへの眼差しは変わりません。

30分ウオーキングして「東寺」着。里美さんの来られたときだけ来ているのですから久しぶり。コロナ禍も落ち着いてきたのか、人出もまあまあです。
五重塔の元、行き交う車もなく広い境内を気ままに歩けるのですから、人気があるのも当然ですね。印判や伊万里など陶器類の店、古着や手づくり作品、東西のアンチック屋さん、際限がないほどぎっしり。
藍染の屋台で目的があって里美さんは状態の良いものをゲット。私は北側の塀沿いに並ぶ植木屋さんで黄色い野地菊とうす紫の小菊と苔の一枚ものをゲット。「やっぱり東寺は楽しいね」と言いながら秋晴れの蚤の市に別れを告げました。
その後、寺町界隈を巡り、伊勢丹で買い物をして夕刻には小旅行を終えたのです。帰られてから「あちこち見れて楽しく、私の日本滞在中でも一風変わった二日間となり嬉しく思っています。ー中略ー 東寺も大好き」とのこと。晩秋の京都でまた里美さんとの良き想い出が増えました。

宇治・中村藤吉本店

ランチの先付け

モミジと山茶花

ランチ後は散策。私も久しぶりの大原です。良く話題になる「大原の里の市」も歩いてすぐのところにあり、ちょっと寄り道。朝早くから京都の料理人たちが仕入れに通うという採れたて野菜が有名ですが、もう午後も半ばとなり残りものもわずか。私は小さくて元気の良さそうな柿を一袋。後日いただくと大きな種がゴロゴロ入っていましたが、甘くてシャキシャキしていてスーパーに置いてある柿とは大ちがいでした。
街道を横切り三千院への近道を登ります。たしか駐車場のあたりまで行くと三千院の参道が見えると思うのに、ひとつ手前の小川とモミジに惹かれて写真を撮りながら下りてしまい、なんのことはない、バス通りから呂川を上がる道の起点へ。「迷ってごめん」と謝ると、パリでも毎日モンマルトルの丘をウオーキングする里美さんは「全然ダイジョウブ!」と言ってくれて助かりました。私にとっても良き運動となったにちがいありません。
三千院から下りてくる観光客の方々とすれ違いながら川沿いのお店を覗いては歩き、昔々、高校三年生で東京からの修学旅行で来たころの大原について語ります。そのころは川沿いにお店などなく、牛が田んぼで鋤具をつけて仕事をしていたり、呂川に水車がゴットンと回っていたことなど、昭和三十年の終わりごろのことです。
三千院近くで「志ば久」という漬物店をを営む久保さんは、今は亡き夫の友人です。若きころはお勤めされていましたが、お母さんが始めた樽の上に並べた手づくりのしば漬けが評判を呼び、リタイアして手伝ううちに現在のような構えの広いお店となりました。なかなかうかがえない大原ですけれど、TVでは良く取材され、お元気な姿を拝見できるとはいえ、ちょうどこの機会にご挨拶と伺ったわけです。
先日もBSで「サラメシ」に出演していた元気な二代目(三代目?)もいて、まだにぎわう店内をさばきながら、幼いころ山科へ来てくれたときの想い出話をしてくれました。多分、絶好の紅葉に包まれた三千院は、もう閉門している夕暮れどき、遠路はるばるの里美さんも歓迎してくれた久保さんファミリーに別れを告げて、ひと影もまばらな川沿いの細道を下りました。