想い出の信州 Ⅰ

来る途中で気になっていたお隣の小さなドライフラワー屋さん「森の時間」に立ち寄ると、お店の看板がオシャレです。懐かしい「姫ガラ細工」の計り売りをいただき、持参しているニットの撮影許可を尋ねると快諾!昨年から二年越しで持ち歩いている「白い柵のある風景」のカーディガンを撮影させていただくことができました。
この日の宿は清里高原の「清泉寮」。東京にいたころから憧れながら、今まで泊まったことがありません。ようやくの念願が叶います。原村の八ヶ岳エコーラインを走っていると、右手前方にひまわり畑、これは映えます。たくさんの車も停まって大撮影会開催中。空の向こうがあやしいですが、これから向かう清里高原の空模様はいかがでしょう。
夕刻到着、ひんやりしています。旧館はまるでヨーロッパ山岳地帯の山小屋風、二階のベランダに飾られたお花がオシャレ!新館ロビーでチェックイン。清泉寮も進化して拡張されているのですね。お部屋は本館2階(木造二階建て)。シンプルな造りで木々の間から遠く富士山も見えていてナイスビュー!とにかくエアコンのない事実、扇風機が一台あるのみ。いかに涼しいかが分かります。
まずは夕食前に名物というソフトクリームを!本館前から丘を少し下った見晴台へ。テラスに足湯もあります。合宿の大学生も多く、青春ですね。とにかくどこを見わたしても緑のなかにかわいい花が咲いていて絵になります
夕食はバイキングながら、一般のホテルよりもオリジナリティーにあふれ、新鮮な野菜が豊富、すべて量を加減できるので大満足!そしてエアコンなしでゆっくり休めました。

8月9日(木)、台風の影響が残る空模様の中を出発!昨夏につづきMさんとのドライブです。予報どおり名古屋を過ぎるあたりで小雨が降っていましたが、恵那山トンネルをすぎると快晴!高原が近づきます。今年は中央道を松本へは行かず辰野を目指します。昔訪れた記憶をたどりながら蓼科高原にある「バラクラ イングリッシュガーデン」へ。
オープンしたてのころに伺って、『天使の家のニットたち』1996年・ほるぷ出版刊で、「プロヴァンスの田舎道」というカーディガンを撮影させていただいたのです。まだガーデンは発展途上中で、これから繁っていくみどりたちが伸び伸びと育とうとしているところでした。今回27年ぶりに訪れ、木々は見上げるような大木に、昔の面影は咲き乱れる草木に覆われてさらに拡大し、また表情の異なるガーデンとなっていました。
数年前まで神戸のデパートの屋上にもガーデンスペースがありましたし、鉢物以外にも雑貨や衣服のデザインもされて、私もアナベルがプリントされたTシャツを愛用しています。趣のある本館のほかに、増築もされてこの間の成長を目の当たりにいたしました。さてランチタイムです。緑のガーデンを眺めながらスープランチのセット。吹き渡る風の涼やかさも美味しさに加味された時間となりました。本館わきの黄色い大木は黄金ニレ。バラクラのシンボルツリーが遠来のお客様たちを迎え、見送ってくれています。

蓼科・バラクライングリッシュガーデンにて

清泉寮 本館

ビシソワーズとキッシュなどのランチセット

なんともやり切れない危険な暑さの夏でした。過去形にして良いのか分かりませんけれど、もう去ってほしい熱気です。京都は連日猛暑日が40日!!これが常態化していくという予報に愕然とします。高齢となるに従って気温も比例して上昇するなんて、誰が考えたでしょうか。でもこれは快適な生活を追い求めてきた私たちへのツケなのかも知れません。しかしこれだけ科学が発展しているのに、地上の熱気を集めてエネルギーに転化できることは不可能なのかと、そこそこの夕立を待ちながら思う日々です。
この夏は、エッセイの仕上げに向かうべく、8月の一週目と最終週に3日間ずつ夏季補習をくみ、中3週間を夏休みといたしました。そのうちの9日から3泊4日で信州へ出かけ、汗をかかない夢のような休日を過ごせましたので、遅くなりましたがご報告を。

グッド モーニング!

萌木の村にて

清泉寮から牧場ごしに
富士山方面の眺望、雲がなければ・・・

青空に映えるニレの大木

翌朝、目の前の牧場で搾りたての牛乳が美味しいモーニングのバイキングをいただき、チェックアウトをしてから近辺の散策へ。30分コースをチョイスして、白樺とクマザサの林をウォーキング。誰もいない原生林を歩けて心地よい運動となりました。45分はかかりましたが・・・。
さて、かねてより気になっていた清里の「萌木の村」へ行ってみましょう。小海線の線路をわたり、東口に出ると、西口とは正反対のなんだか不思議な遊園地風商店街。そこを抜けてしばらく走ると萌木の村に到着。1977年に開村して2012年よりランドスケープデザイナー、ポール・スミザー氏の監修で庭園づくりがスタート。ずっと憧れていましたが、実際にイギリス人の庭師さんが手入れされている様子も拝見できるガーデンが素敵です。ワイルドな表情ながらメリハリのあるしつらい、園内に散らばるショップはどこもグレードが高く楽しい。園芸用品のお店で見たこともない花の種をいくつもチョイスしてしまいました。秋になったら玄関脇の花壇に蒔いて、ワイルドフラワーで埋め尽くしたいです。

では、ゆっくりと今夜の宿のある上田に向かいましょう。野辺山駅を通過、小海線のこの駅は日本一標高の高い駅として有名です。国道をはずれて一本山側の道を走っていると、「八ヶ岳高原ロッジ」の案内板。良く見聞きするけれど、どのようなところか行ってみます。グングン山道を上がり、カラマツ林が美しい取り付け道路を抜けると、奥まったところに林に囲まれた山小屋風の落ち着いたホテルが・・・。ロビーまでお邪魔して雰囲気だけでも味わわせていただきます。セレブな方たちは、このような静寂の中で、避暑の時間を過ごされるのですね。
先を急ぎましょう!そろそろランチの時間としても遅めです。八千穂・佐久平と進んでいると、国道沿いに広い駐車場のある本陣のような食事処が見つかりました。これが大当たり!ゆったりした個室風のレストランです。行き当たりばったり旅の醍醐味ですね。その後上田の標識を見失わぬよう走っていると、すこし渋滞?のろのろを避けようと思ったとたん「日帰り温泉」の看板、山道に分け入ります。本当にあるのかしらと不安に思うころ望月温泉着。合宿でしょうか、緑に囲まれたテニスコートで学生さんが数人、プレーをしています。人影もなくのんびりした宿です。エレベーターで下りると山肌に造られた温泉ということが分かります。湯舟の前はガーデンとなり、遠くに山並みが見えます。蝉の声しか聞こえない貸し切り温泉。京都の暑さを癒してくれる願ってもない静かな温泉でした。
夕刻にJR上田駅着。駅前のホテルにチェックイン。清里ではツインルームでしたが、この日から2泊はシングルで予約済み。高層階で見晴らしも抜群、ひと息ついてから町を探索がてら夕食の居酒屋を探します。何気なく決めた「出雲」というお店が良かったです。お一人で切りまわされている女将さんは出雲ご出身、あとから私と同じ年とと知り、余計親しみがわきました。グイグイと飲めるMさんも大満足の宵となりました!

小川も流れる静かな森

「萌木の村」で購入したシードたち

蝶が寄ってくるというブットレア

清里高原にて

八ヶ岳のふもと原村のひまわり畑

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ようやくひと雨降りました。アトリエも糸の入れ替えなどして新学期です。
エッセイ本も順調?です。秋の展示会にはカレンダーとともに間に合うでしょう。
旅のつづきは後日また、しばらくお待ちください。   asako 2023・9・7