NO 116 LAST LETTER
ちいさなアンジュもついに終幕のときを迎えました。形のうえではcontinueなわけですが、30年の時をすごしたショップでの日々を思うと、胸にこみ上げてくるものがあります。NO116・ラストレターを発送した翌日からお電話の切れ目なく、またお手紙も1・5倍?いえそれ以上。泣かさないでと思うほど、みなさん感傷的。しかたないですね、さまざまなことで、アカデミーへのご参加がかなわぬ方には申し訳ないと思っています。たしかにタイトルはさりげなくて「静かなさよならは、かっこいいです。」と書いてくださるかた、また「教え子の成長は先生冥利につきます。ますます幸せにしてね」と、励ましてくださっている小学校の恩師。四季のニュースへの反応は、アンジュからの発信を受けとめていただくバロメーターですが、エネルギーの源でもあるのです。好意をもってアンジュのことを受け入れていただいている・・・と実感できるからです。
私のデザインしたニットが、着ている方のまわりでオーラを発散し、強いインパクトをあたえているというお話も、嬉しいものです。そのうえに「編みものをしている時が一番楽しそう」と、ご主人から言われるとか、毛糸玉がころがると、「ほいって拾ってくれるの」など、あたたかいご家庭の様子が会話の中に見えるのも心がほわっとしてきます。アンジュへレッスンに来られる方は、そのとき身の回りに気がかりがなく、ご自身の体調も万全だから、あかるい話題に笑顔がこぼれるひとときを、私はいつもとってもありがたく感じていました。
30年を自己評価すると、何点になるのでしょう?いつも待っていただくことばかり。「急(せ)きませんから」と言うやさしいお言葉に甘えさせていただきました。脳内時計は締切時間を認識しているのに、身体能力が付いていかない状態。申し訳なく、荷物に添えるお便りにはいつも「遅くなってごめんなさい」と、よく書かせていただいたものです。アンジュからの宅急便を開けるのがすごく楽しみ、と言われると遅れたお詫び心はどこかへ飛んで、中からでてくる美しい毛糸たちをご一緒に眺めている私がいます。時間をかけて生まれたデザイン、どれだけ描いたのでしょう?A3のファイル30冊以上。13冊刊行したワンマンブックも、何年たっても色褪せないと、廃版のバックナンバーをアマゾンでゲットされる方もいて、確かにリメイクものも人気があります。私自身たまに自分の描いた製図どうりに導かれて編んでいくのは、なんとも楽しいのですから、みなさんが次々とキットを確保されるのもわかります。これからも夢のある誰も真似のできないニットを生み出せるように、心を豊かに保ち健康に気をつけてすごしてゆきたいと思います。どこにもない楽しいアカデミーを創りましょう。遠方の方々、いつか地方を巡るギャラリー・ツアーも夢ではありません。それまでどうぞ小さなアンジュの大冒険を見守り、応援していてください。私はいつもアンジュのニュースレターを心待ちにしていてくださった方々のことを忘れません。そんな記憶力だけは満点かもしれません。
アンジュ便りはしばらく休みます。今日いち日涙がこぼれぬように山のような荷物の発送にがんばります。
咲いた桜もとまどう寒さ、みなさまお体ご自愛のほどを。30年ありがとうございました。
2009・3・31 アンジュ 石井麻子
アンジュだより 116号
アプローチはアンジュ通り
パリで作った看板
野いばらの
アーチとアンジュ
入口から店内
テラスから店内
毛糸棚のある壁面
プレゼントの大きなパン