一月も残りわずかとなりました。依然として寒い冬です。昨夜から雪が降り始め、見渡すとうっすら銀世界です。でももっと本格的な雪景色を東北で見てきました。今月の東京レッスン(11日・金)のあと、土・日にかけて二泊三日の三都市を巡るツアーです。昨年の「チャリティー・アート展」での収益を、被災三県の「九条活動団体」に届ける旅でした。福島の郡山では「九条連合」の方など、女性の方々となごやかな集いでしたが、原発から真近いこともあり「フクシマってカタカナで書かないでほしい」と、複雑な心の内も語られました。仙台は「宮城生協」の力強いバックアップで「九条を守る活動」をされていて、3・11のあと「宅配システム」を通じて組合員の安否を気遣う様子をTVで観ましたね。生協が暮らしの一部という羨ましいような状況ですが、組合員にも犠牲者が出ていて当時のことなど伺いました。日曜の朝、盛岡へ向かう前に I さんが仙台から車で30分の荒浜とユリアゲ地区へ連れて行ってくださいました。弾丸ツアーですから、とても訪ねる時間など無いとあきらめていたので感激。事務局の I さんは70歳くらいというのにとてもエネルギッシュ。おかげで津波の恐ろしさを実感できる所まで行くことができました。歯抜けのような松原、まるで寝ている姿のような松の木。海側へへしゃげたガードレール。引き潮のすさまじさですが、2年近くになるのに未だに改修されていないのに驚きます。ユリアゲ中学校では14人の生徒さんが犠牲となり、校門に石碑が建ち祭壇が設けられていたので、ご冥福を祈りました。家があった痕跡の土台だけが、かろうじて草の中に見える荒涼とした風景の中で、大きな穴があいたガラス戸から冷たい風に揺れるカーテンの一軒家。雑草の中の土台だけよりつらい光景でした。地震のあと逃げる手段として乗った車が渋滞し、津波に呑まれた数百人の無念の叫びが聞こえてきそうです。I さんに送られて盛岡へ向かいます。一ノ関を過ぎ「水沢江刺」辺りからいよいよ雪景色、といっても晴天です。

新年・1月

3月に予定している熊本での展示会
DM用に撮ったうちの一枚です。
雲の間から陽ざしがこぼれるのを待ちながら・・。

前日大雪だった盛岡も晴れた穏やかな日。二回目の盛岡、ひとつ目的を抱えての再訪。ここも岩手生協の方が出迎えてくださり、集いに参加される方との昼食まで市内をドライブしてくださいました。静かな北の街、いずこも郊外に大型店の出現で市内のお店は・・。旧市街と駅をはさんで反対の西側に広大なキャンパスを持つ岩手大(通称・ガンダイ)もぐるっとひとまわり、北大につづく国内で環境に優しいキャンパスとのこと。農学部は旧市街の郊外にあり、宮澤賢治の母校です。12時、岩手生協所有の「南昌苑」という元豪商のお屋敷跡で九条の会のメンバーが集まり風情のある和室でランチの会。はなしが盛り上がっているときに、突然ガシャガシャと大揺れがあり余震。築170年を超える老屋が悲鳴を上げ、3・11の時はすさまじかったことでしょう。ここでも生協の力強さ、北国の底力を感じました。遠く離れた京都からの使者をあたたかく迎えていただきましたが、これもチャリティーアート展などでお買い上げいただいたり、会場カンパをしてくださったみなさまの心が届いたものだと思っています。さて、材木町というちょっと気になる通りまで送られ、同行の9条の会・事務局次長とつかの間の観光です。私は8年ほど前、カトリーヌさん一家と仙台・角館をまわり、小岩井農場を経て辿り着いた盛岡で、ホームスパンのお店に魅せられました。以来、盛岡のホームスパン(手染め・手織り)でコートを創るのが夢でした。今回のツアーは絶好のチャンスです。幸いなことに帰りの列車まで時間がありワクワクしてお店へ。丁度SALE中でラッキー!念願のコートを仕立ててもらうことが出来ました。仕立てをしてくださる方と相談しながら楽しいひとときでした。出来あがってくるのが待ち遠しいです。東北新幹線の「やまびこ」「はやぶさ」「はやて」と乗り、鉄子さんには嬉しい旅となり、仙台からはANAで伊丹まで戻りました。

仙台市郊外・荒浜でかろうじて残った松原。
この左手の貞山堀をはさんで国道までつづく
何もない被災地。

ユリアゲ中学校の校門にて

19日には聖護院の寒行で例年どおり山伏さんたちが「ほら貝」を吹きながら来られ、今年も我が家の厄払いをされました。この頃はお祓いが終わると、かしこまって拝聴しているアシスタントともども大きなお数珠でゴリゴリと背中をさすられ、邪気を払ってくれるのが快感です。これで冬が終わると思うのに、なんとも寒い冬ですね。お風邪など召されませぬように。

さて、29日から「姉妹都市6/9を編む」展が始まります。昨秋「わが心のタペストリー」という小冊子を刊行したことで、姉妹都市シリーズも6作となり、一度途中経過を展示いたします。29日は13時からのオープンですが、11:45から簡素な開会式も行い、公的な会場にふさわしい催しにいたします。同時にワークショップも開催いたしますので、寒い折ですがどうぞ蹴上の国際交流会館へお出かけください。お待ちしています。   asako

  
    2013/1/29  


 

盛岡市内を流れる
北上川

・戻る