極上のバカンス Ⅲ

シリアン湖の見える花畑

しかしその前に今回ガイドブックを見ていて訪れたかった「セーテルグレンタン手芸学校」に回り道。森の中の寄宿制学校は世界中から手仕事の習得にやってくる人々がいて、つい最近まで日本から織物を学びに来ていた方もいたそうです。毛糸の棚も充実し、木工や陶器、刺繍作品が美しく並んだ売店は、レベルの高い魅力的な作品と素材に溢れていました。

8月27日10時過ぎ、ウプサラ出発!北へ3時間のダーラナ地方へ向かいます。途中30分ほどのところにある一人息子アンデス君一家が住むという村に寄ってもらいました。雑木林を従えた立派な平屋に感激です。何故ってアンデス君がまだ中学生のころから知っていて、もう二人の息子のパパだなんて未だに信じられないほど。そして敷地の入口に何やら古いけれど可愛い家が建っています。そこはリンダール夫妻が初めて買ったサマーハウスとか。絵に描いたような憧れの小さな家です。その昔、この村に住むある線路工夫が、くじに当たって建てたものとのこと。白いドアの右部分はエイナさんが自身で建て増しし、もちろん屋根も葺き替えたなんて驚きです。この日アンデス夫妻は仕事、子どもたちは学校で会えませんでしたが、後日出会えるのが楽しみです。A70からA72と幹線道路をひた走るのですが、白樺の林と草原が続くばかり、信号もドライブインもいっこうに見当たらず、日本のハイウエーがいかに異常かと思うほど。途中屋根のついた木のベンチが幾つかある待避所でランチです。薄切りの黒パンとハム・チーズ・キュウリとトマト。熱い紅茶を添えて爽やかな風に吹かれ、美代子さんの手作りランチの美味しいこと。寄り道と工事中でやむなく迂回させられた、お二人も見知らぬ村々を巡り、3時間ちょっとでようやくダーラナ地方の中心地、レクサンドが近づいてきました。

27日朝、泊めていただいたお部屋の窓から・・。

19年前に宿泊した

シリアンホテルの別棟

サマーハウスのサンルーム

セーテルグレンタン手芸学校

夏至祭りのポール

翌28日、夏の終わりのシリアン湖畔をドライブ。まずは高台に登り、19世紀の画家、アンカル・クローナが気に入ってストックホルムからテルベリーに移住し、おそろしく古い農家に暮しながら、手工芸の復活や伝統行事の再現などに力を注いだという家に向かいます。シリアン湖が遠望できるロケーション。ミュージアムは夏至祭りの頃には賑わっていたのでしょう。この日はもうクローズされていたので、持参した新作ニットを木の壁に掛けてパチリ。丘を下りる途中右手に一面花畑。エイナさんに車を止めて頂き出てみると、なんということでしょう、矢車草やデージー、それにポピーなど誰が撒いたのかワイルドフラワーの広々とした絵のような光景。お二人も見たことが無いと言われるのですから、きっと限られた季節に出会った幸運でしょう。
19年前に泊まったあの木造のシリアン・ホテルにも行きます。硬い木のベッドの部屋もそのままらしく、しかし湖にも近いロケーションですから人気があるようで、母屋などはリニューアルされていました。その後、花柄の可愛いい馬の置物「ダーラヘスト」の工場兼ショップへも立ち寄り、ランチは440mの標高にあるホテルへ。入口にあるこじんまりとしたブチックの、風雨に晒された板壁に惚れて、ここでもセーターをパチリ!午後は湖の西岸をまわり、サマーハウスへ帰ります。湖面を横切る長い橋も思い出し、煙の立ち昇っていた家の辺りも通りました。冬も良し、夏も良しですね。



つづく  2014・9・27 asako






いよいよ懐かしいレクサンド。19年前、パリの里美さんを誘ってウプサラで落ち合い、大晦日で雪の積もったレクサンドの街に宿泊し、雪の道を歩いたことが思い出されます。あとから車で到着したリンダール夫妻と(このときはまだダーラナに別荘はありませんでした)画家アンデス・ソーンのミュージアムへ行ったり、古い木造りの宿に泊まり、薄暗いリビングにまだクリスマス飾りがあり、根っこのついた大きな樅ノ木に驚きました。その後、真冬のシリアン湖巡りをし、ファールンにある画家、カール・ラーションの家を訪ねたのです。以来ずっと忘れられない情景があり、雪をのせた小さな家の煙突から暖炉の煙が、早い夕焼けにピンクに染まる空に向かって立ち昇る様子が心に残っています。今は夏、樹々は輝き雲は浮かび、これほど印象が異なるものかと、二つの季節の違いをを体感出来る休暇となりそうです。
ついにリンダール家のサマーハウスです。いつもメールやお便りで写真を送っていただいているので、知っているつもりでしたが、白樺林に囲まれサンルームを建て増した母屋と二つの小さな小屋、そして菜園や温室まである広々とした芝生のガーデンには絶句!何年もかけて探した夢の家だと分かります。
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天使と小鳥のセーター

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お向かいの兼業農家のお母さんとと息子さんが馬を連れての
散歩帰り。この夏通りの向こうの白樺が伐採されて、空が見える
ようになったとリンダール夫妻は喜んでいました。

白と黒のカーディガン

shopのあちこち

リンダール家最初のサマーハウス

アンカル・クローナの家