ガムラスタンの静かな三角広場

大きなリースはピーマン?
小さいものはナナカマド

9月2日、ウプサラへ向かいます。高速道路でアーランダ空港を通り過ぎ、ストックホルムから約1時間。10時にリンネ植物園前で友人のリンダール・美代子さんと待ち合わせ。今日は郊外までのガイドをしてもらいます。先ずはウプサラ大学と大聖堂のある界隈へ。バイキングの遺石があったり、長年通っているウプサラでも、知らないことって多いのです。
旧市街へ向かう途中、仮装をした大学生たちに逢います。今夜「新入生歓迎会」があるので、その呼び込みとか。前日、ガイドのMさんから伺った高校の卒業式のことも印象的でした。式には父兄も参列し、子どもに「親が来た」と分かるように派手な目印を持って行くこと、そして式が終わるとオープンカーのようなトラックに卒業生が乗って街を賑やかに走り回るそうです。解放された高揚感が伝わるお話でしたが、今度は入学すると先輩たちからのユニークな歓迎があるのですね。羨ましい自由さを感じ、感性の違いは国民性でもあるのだと思った次第です。
旧市街にあるお洒落な店は、期待して覗いて見るとカラッポ。居心地の良い手造りのブティックなどは、世界中で維持していくのが困難なのかも知れません。教会下の花屋さんは健在でした。前回買った赤い実のリースが飾られています。同行の I さんが求めました。このときの写真を、このたび2018年カレンダーの『12月』で、小窓に用いたのですが、赤い実の確かな名前が知りたくて、後日美代子さんへメールをすると、彼女も知らず自転車で(多分15分くらい)確認に走ってくれました。そして「ナナカマドの実」であることが判明したのです。花屋さんで聞いておけばよいものを、美代子さんありがとうございました。
川辺りの週末マーケットを楽しみ、ウプサラ駅に近い毛糸屋さんまで歩きます。ここは綺麗にリニューアルされていて、ゴットランド島のシェットランド毛糸が美しくディスプレイされています。もちろん「Just looking please?見てもいいですか?」と断ってお店に入っていますが、そのお礼替わりにボタンを買い求めました。
さてランチタイムです。美代子さんと相談がてらリサーチ。毛糸屋さんから目と鼻の先に日本料理の看板。「入ったことないけどいいみたいよ」というので決定!そろそろ洋食にも飽きてきたところですから皆さんも嬉しそう。オーナーはタイの方でしたが、清潔で美味しいお店でした。向かいにアジア系の食材屋があるので、美代子さんも知っていたのですね。

川ベリの土曜マーケット

さて、水辺へ戻ると大渋滞。数日前に地方からストックホルムに出て来たばかり、というドライバーさんは、誰か要人警備の為か通行止めの渋滞を回避するのに一方通行に振り回されて、5分も掛からない距離を結局1時間ほど・・・。でもおかげで懐かしいメトロの入口前を通ったり、映画「魔女の宅急便」のイメージとなった塔や橋などをガイドさんから教えていただき、まだ陽は高いけれど夕暮れどきの街の様子は興味深いものがありました。
市庁舎からも遠くない旧市街=ガムラスタンは先ず王宮を見学し、「ノーベルミュージアム」前の広場で中世の建物に囲まれます。ミュージアムは9月1日(本日)より5時クローズとなって、ここでしか売っていないという「ノーベル金貨」チョコは、渋滞に会ったので5時を少し過ぎていて買えません。残念と思った人もいたでしょう。
その後、ガムラスタンの一番の目抜き通り「ヴェスタロングガータン」へ。細い通りの両側にギッシリ商店が並ぶ見逃せない歩行者天国です。何度も通ったことのある私は、時間が無いなら反対側の静かな通りを歩きたく思います。アシスタントが「先生と一緒に行く!」と言うので一人歩きにならずに済みました。
昔は・・・と、ここでも想い出の光景が蘇ります。静かな石畳の道を歩くと、日本で言えば江戸時代ごろの古色蒼然とした建物が隙間なく並び、時折現れる小道は細くて、東側には水辺も切り取られたように細長に望めます。毛糸屋さんや生地屋さん、手作りの店とアンチックショップがいっぱいあって、石畳を右へ左へとジグザグに歩いたものです。今は時代が変わったのだと諦め、それでも微かに名残を見せる懐かしい小さな三角広場にほっとしました。
朝、船を下りてから観光をして来た一日が終わります。ホテルはガムラスタンの南、橋を渡らずに潜って南に広がるセーデルマルム地区へ.
。夕食は近くのレストランでスウェーデン料理が良いでしょう。ガイドさんお勧めのレストランはホテルのあるブロックの角を回ったところとか、予約をして来てくださいました。荷物を部屋に置いてロビーで再集合。ジビエ風ディナーとなりました。

王宮の隣にあるストックホルム大聖堂

晩夏の旅 Ⅳ ストックホルムからウプサラへ 

麺類やお寿司など、それぞれのランチの後、郊外の水車小屋までドライブしますが、あいにく雨が降って来ました。車内では美代子さんがウプサラに住むことになったドラマを語っていただきました。改めて伺うと本当にドラマチックです。詳細は省きますが、日本から遠い国で言葉を学び、子育てをしながら保育の仕事に就いて定年まで働いてきたこと。ウォルドルフ人形も制作し、ウプサラやダーラナのクラフトショップで販売もされ人気作家でもあります。
ウプサラ大学を出てストックホルムにあるIT企業に勤め上げたご主人と共に、今は車で3時間半ほど離れたダーラナ地方の森の中にサマーハウスを持っていて、春から秋に掛けては、ブルーベリーやキノコ狩りに出かけて、ゆったりとした暮らしを謳歌。お二人の人生の半分近くを、友人の紹介からご縁を結んでいるのですから、ウプサラは私の心のオアシスでもあるのです。

3年前に訪れたときは晴天で、水車小屋に近い広場は人で溢れていました。テントの屋台も活気がありましたが、この雨の週末、人出は多いのに盛り上がりに欠けるマーケットでした。でも水車小屋の大きな建物には雨をよけた人が溢れ、3階のガラス工房の見学や、2階のアンチックショップは、ただでさえぎっしり詰まった展示品で身動きが取れぬほどなのに大混雑。古いダーラフェスト(木馬)と、撮影用の手作りハンガーを探せました。
このあと植物学者・リンネのサマーハウスに出かけるのですが、時間が足りなくなりました。ドライバーは次の仕事で空港へ5時までに行かなければならない・・なんて寝耳に水。添乗員のU氏はタイトな時間配分に憤慨。
でも今年は夏が寒くて花もあまり咲いていないようなので、ショップで買い物をしたあと、雰囲気を味わっただけでミュージアムを見学をせずにリンダール邸へ。皆さんをスウェーデンの家庭訪問へといざなうのですけれど、予想外の展開で短時間の滞在となりました。待っていてくれたリンダール氏とも挨拶をしただけでゆっくりお話もできません。収穫の少ない今年の貴重なお手製ブルーベリージャムを頂き、慌ただしく美代子さんに別れを告げてアーランダ空港へ向かいます。
「リンネのサマーハウス」でゲットしておいたスィーツを皆さんとバスの中で小腹に収め、雨の上がった空港へ5時ちょっと過ぎに到着!今夜は空港内のリッチなホテルに泊まります。最上階のレストランでジャストタイム・サンセットを眺めながら、旅の最後の夜が更けてゆきました。

翌朝早朝、AF1463便はパリまで、トランジットをしてAF292便に乗り換え9月4日(月)朝、無事に関空へ着陸。6泊すべてが移動という強行軍でしたから少々疲れましたが、初めてのバルトの国々と夜間クルーズ、そしてストックホルムで市庁舎見学の楽しく有意義な旅となりました。
私にとって旅とは、アートな世界を描くための原動力のような気がします。またいつか旅に出ましたら、旅物語を綴らせていただきますね。

急に寒くなってきました。皆さまお元気で。      2017・11・19    asako


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ウプサラ大聖堂近くのヴァイキングの遺石

バルデマーシュッデからもう一つ、かって裕福な方の館であったミュージアムへ。この辺りはお屋敷が点在し、進入禁止の道が入り組んでいて、3年前にリンダール夫妻とドライブしたときも、同じように道に迷いましたが、ストックホルムの喧騒が聞こえるはずの距離なのに、緑が多くて信じられないほど静かです。
やっとたどり着いた「ティ-ルスカ・ミュージアム」はムンクの見慣れない絵がいっぱい!ドガやゴーギャン、スウェーデンを代表する画家カール・ラーションも!
半地下にあるギャラリーの不思議なとてつもなくどっしりとした木製ベンチは繰り抜き?でしょうか。銀行家であった家主の破産のあと、国が管理していた膨大なコレクションと共に圧倒される家具です。
2階にはカフェがあり、有名な女性パティシェが創るスィーツは外せません。広い廊下のテーブルにコーヒーカップやお皿が積み上げられ、タルトやクッキーが置かれてカフェテリアのような雰囲気は同じでしたが、左右の部屋に別れたカフェはちょっとモダンすぎるほどのリニューアル。素朴な佇まいを改装したことで、失う物ってあるのですね。通いつづけると見なくて良いものが見えてきて、郷愁に浸ることを止めねばならず無念です。

丸くカーブしているのは、以前お洒落なブティックでした

2階の窓から・・

水車小屋近くの手作り市
ぐるっとたくさんのテントなのに無情の雨

さすが!I KEAの宣伝をしながら観光するボート

ムンクの絵がいっぱい

午後4時ごろの市内 バスの車窓から

静かな晩夏のリンネミュージアム

お花をゲットした方

ウプサラ大学の学生たち

バルデマーシュッデからティールスカミュージアムへの道
ユールゴーデン島は緑に覆われている

ティ-ルスカ・ミュージアム内

ビルの間の細い道

毛糸屋さんに貼ってあったかわいいポスター

ガの踊り子