10月20日(土)夕刻、地下鉄東西線・蹴上駅で友人と17:30に待ち合わせ、東山を登っていくシャトルバスに乗り込みます。この日は「花山天文台」で喜多郎さんの野外コンサート。東山ドライブウェーの中ほどにある天文台は、正式名称「京都大学大学院理学研究科付属天文台」。日本で二番目、昭和4年(1929年)創立、来年で90年となる伝統ある天文台です。山の上にあるのに、東寄りだからでしょうか、京都の街中からは見えないけれど、山科のアンジュ辺りからは、なだらかな西の稜線にドームのシルエットが見えるので、日々の情景として親しみ深いものがあります。
毎年気になっていた秋のコンサートにようやく出かけることができました。月と音楽と映像の夕べ『古事記と宇宙』って壮大ではありませんか。バスを降りてから天文台の敷地である枯れ芝の山道を少し登ると、右手に山科の街並みが見下ろせます。天文台の前庭のような所には、望遠鏡が幾つか置かれ、所員の方々(教授?)が張りついて説明をしてくれます。雲の無い日でしたから月のクレーターもはっきり見えましたし、赤い火星も覗いたのです。18:40分、柴田台長のご挨拶があり、いよいよコンサート開始です。
先ずはサウンドアーテイストの岡野弘幹さんと喜多郎さんとのコラボレーション。民族楽器を多用する岡野さんと、喜多郎さんのシンセサイザーに圧倒されていたら、あとから即興であったと聞いて唖然。休憩の後、本館正面のドーム下を覆うような(喜太郎さんの手製!)巨大な白い幕に、天文台から撮影した貴重な映像が映しだされます。喜多郎さん作曲の『古事記』は、「太始」・「創造」・「恋慕」・「大蛇」・「嘆き」・「饗宴」・「黎明」の7パートに分かれる壮大なものでした。また映像は「大始」では宇宙や銀河の形成。「創造」では水星・木星・地球・火星・土星・天王星などや、金星と月のクレーター。「恋慕」は天の川・オリオン大星雲、カシオペア座など。「大蛇」では黒点・コロナ・太陽フレア・プロミネンス噴出・オーロラ。「嘆き」はオーロラ発生のメカニズム・宇宙から見たオーロラ。「饗宴」は皆既日食・宇宙から見た日食・彩雲。「黎明」ではキトラ古墳・明月記・ガリレオ・ニュートンから『はやぶさの帰還』まで、1時間半ほどの一大叙事詩を目と耳で堪能しました。
すっかり暗くなった月の浮かぶ夜空を夜間飛行の明かりが点滅しながら上空を通り過ぎて行ったり、低いとはいえ山上なので冷え込んできましたが、皆さん防寒も怠りなくの参加でしたから幸いでした。演奏が終わると虫の声も聞こえ、いつの間にか見えていた門川京都市長と喜多郎さん、天文台長が舞台で出会い、毎年恒例らしい「来年(7回目)もキタロー」という合言葉で幕を閉じました。国からの援助が枯渇しているので、由緒ある天文台を維持する目的で始まったコンサートは、喜多郎さんの協力なしでは続けられなかったようです。秋の良き一夜となりました。
11月25日(日)午後2時植物園。この日は元園長である松谷氏による「園長の気まぐれ散歩」100回記念の日。京都府立植物園では、15年前から園長さんによる園内のガイドツアーが始まりました。より多くの人々に植物園を知ってもらおうという趣旨が好評となり代替わりしながらも続いてきたのです。植物園には思い出したように出かけますが、ガイドツアーにはなかなか遭遇できず、このブログの第二回目でご紹介して以来のこととなります。2008年5月とありますから。10年も前のこととは・・。
新聞で告知されていたので約100名の植物園または松谷元園長ファンが会館前に集合。退任されたあと隣接する府立大教授となられた松谷さんは、それなりに歳を重ねられてもなお「植物園愛」に溢れているようです。
創立95年の歴史の中で、戦後に米軍の家族キャンプ地となり、昭和32年に返還され一年かけて施設を撤去、そして36年に再開したことを知ります。また10月初めの台風21号の被害状況を伺うと、昨年も21号の被害があり、南からの風に100本倒されたけれど、今年は北風で200本の倒木!根っこの向きで災害年が分かるなんて創造もできない惨状だったのですね。見上げるようなケヤキ並木も歯抜けて重厚感に欠けます。ヘッドセットを装着した元園長に引率されていざ出発!大好きなバラ園の真ん中にそびえるヒマラヤ杉も枝をもがれて無残な姿。
もう45年も前のこと、結婚前の主人と訪れたとき、大きな松かさの先の部分だけが大量に、樹の下に敷き詰められるように落ちていました。まるでバラのドライフラワー!と感激したことを思い出しました。これから50年経ったら元の樹形に戻るのでしょうか。
植物園だよりには、毎月四季それぞれに手描きの園内マップが発行されていますが、今回は特別号『凛とした存在』というタイトル。A3の裏表いっぱいに見どころが満載!バラ園と西洋庭園のあと、松谷さん一押しのニワウルシを見上げ、葉を落とした枝振りに感嘆!
それから楓の樹々を巡ります。いつもは素通りするような木立の中に、どこでも見かける「イロハモミジ」があり、天狗のうちわのような「ヒナウチワカエデ」と、「コミネカエデ」などの葉形を知ります。また天使の羽のような翼果は、風によって運ばれる回転姿も教えていただきました。子孫を残すために、より効率の良い飛び方を、それぞれの樹は学習し努力を重ねているようです。
500m四方、250haの植物園のおへそといわれる広場に来ました。子どもたちが遊びまわるところですからめったに入り込まぬ場所ですが、360度ぐるっと見回せば、また違った光景に出会えるのですね。その後、紅葉の表銀座・裏銀座と呼ばれる池沿いの道を歩き半木(なからぎ)神社で約1時間の散歩は終了。ただ漫然と歩くのとは違う至福のひとときとなりました。
秋から冬への移行がなんと早かったことでしょう。炎暑のあとに来た心待ちの秋晴れは爽快で、いつまでも続くものだと勝手に考えていたのが間違いだと気づいたのは、あとの祭りというものです。でも、束の間の秋を存分に楽しんだ履歴があります。
11月30日(金)には、アンジュの京都クラスの半分にあたる32名の参加で名古屋を目指します。現在、名古屋方面から4名の方が通われているのですが、そのパワーに敬意を表したく、また興味深いミュージアムなどを訪れたく企画したものです。ボーンチャイナの「ノリタケ」・旧東海道「有松宿」の絞り染め・そして「トヨタ産業技術記念館」の三カ所は、日本を代表とする産業の歴史遺産でもあり、再び訪れたくなるほどの興味深いものでした。長くなりすぎるので詳細は省かせていただきます。
とにかくレッスンと新しいデザインを描くことと、いつになく必要に迫られてベストなどの制作もしていて大いそがしの秋でした。でも振り返ってみれば、折々にあちこち出かけ、リフレッシュできたからこその充実した日々となりました。
もう年の瀬も間近です。災難だらけの一年でしたが、来年こそ
穏やかに過ごせることを願っています。
皆さまお元気で、どうぞ良いお年をお迎えください。
2018/12/22 asako
11月5日(月)午前11時、仁和寺・二王門前に集合したのはO先生と元新聞記者のTさん。この日は仁和寺の裏山、成就山を巡ります。御室の仁和寺は、宇多天皇の御所であり、京都で一番最後に満開を迎える御室桜の名所でもあります。プロのガイドであるO先生に導かれ、西門から出て住宅街を少し歩くと一番札所の徳島・霊山寺。そう、ここは西国八十八カ所のミニ版であり、山中を上り下りしながらお遍路さんとなれるのです。
O先生は50代で実際に八十八カ所を巡り結願された方ですから、弘法大師の足跡を辿る札所巡りに最適なガイドなのです。登りはじめてすぐに、先生は下りて来られた女性とご挨拶。京都の山岳会仲間とのこと。私の展示会にも来られたことがあるなんて本当に世間は狭い、というか山歩きの好きな方は毎日でも登られる親しみやすいお山のようです。しかし杉林のあちこちで倒木、つい最近まで通行禁止。台風21号の爪痕はすさまじいものだったようです。小さなお堂の屋根瓦が崩れ落ちたり、屋根そのものが飛ばされていたり、被害は相当のもの。
12時半、ちょっと開けた陽だまりでランチにします。何番札所であったか忘れましたが、弘法大師さまが台座から落ちたようで寝かされています。手をあわせてしばしの休息場所にさせていただきました。O先生は担いできたザックからコッフェルを出して火をつけ、野菜ラーメンを作ってくださる。おにぎりなど持参した他二人は、温かい具沢山のラーメンに疲れを癒していただきました。私は久しぶりの登山だけど、T氏は登山じたい初めてというのですが、二人ともそれほど疲れも見せず、それぞれ日々のストレッチのおかげと、自らを讃え合いました。
数年前、チェロの淵田先生とO先生との愛宕山登山以来で「ちょっと心配」という私に、O先生は「あそこは登山とは言えないのでご心配なく」と安心させるようなことを言ってくれていたのですが、結構アップダウンがあり、ランチのあとしばらく歩いてから「石井さん、やっぱりここは山でした」と、訂正をされたのです。
阿波は発心、土佐は修行、伊予は菩提、讃岐は涅槃と、お大師さまが浄土へ修行の旅路とされたことなどO先生から説明されて、お遍路の意味も学び、京都のこの地に四国を模したお山があることも知り、信仰の深さと京都の奥深さもあらためて実感したのです。
私の一番の目的は、仁和寺の裏山から見渡す京都の眺望です。結講開けていて西は嵐山辺りから東は京都駅から御所方面まで望めました。そろそろ紅葉も始まっているようで、所々で銀杏の黄色がポイントとなり、非日常の光景に見とれ、もちろん愛宕山も西の山向こうにそびえています。
寒くもなく、ちょっと歩くと汗ばむくらいの小春日和です。2時過ぎに八十八番目の「大窪寺」に到着。膝も笑わず(痛みなく)、頃合いの山歩きとなりました。仁和寺では丁度非公開だった「四天王図」が観られるとあって、金堂が賑わっています。阿弥陀像の前でご住職から仁和寺の由来などを拝聴したあと、裏手にまわり400年前、板襖に描かれた「不動明王」など四天王の見事な彩色に見入ります。金堂の北にある板敷の間は、鎧戸で閉ざされて日の当たらぬ空間(庫裏・物置とも・・)だったことから、色褪せずに残ったようです。50日間のみの公開で、実にタイムリーな見学となりました。
正面に京都駅 東山のなだらかな稜線の向こうは
山科の音羽山から醍醐寺への山並み
イロハモミジ
11月下旬 アンジュ・ガーデンにて
11月11日(日)東山・将軍塚からのサンセット
今年1月、パリ行きの機内で出会ったオルレアン在住の
シルヴィーさんがアンジュへ。
夕刻、市内へ送りがてら「青龍殿のテラス」へ行く途中、
洛西の山に沈む夕日に見とれる。
その後、日本人のご主人と、在日8年という次男セバスチャンと
ともに楽しいデイナーのひとときを過ごしました。
冬のバラ園も好き!
東京・銀座 伊東屋のwindow
11月9日 撮影
大きなクリスマスリースと
左の細長いオーナメントは
松かさや柊など。右下にあるのは
赤い実のクリスマスホーリー