3月6日 リスボン・マリオットホテルのお洒落な朝食も2日目。今日はいよいよモロッコへ飛びます。とってもダンディなグレーヘアーのおじさまが空港までエスコート。
11:40 リスボンを飛び立ったAT(エアモロッコ)983便は、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸を隔てる海を見下ろしながら、およそ1時間20分でカサブランカ(時差があり)14:00着陸。

3月7日 朝9時半、ロビーではマダニさんがグレーのロングワンピース型民族衣装でお待ちかね。フェズで過ごす一日がスタート。まずバスで向かったのはフェズ・ジャディーンという11世紀にできた街にある王宮へ。国内にいくつもあるという王宮のひとつです。先代の王様は評判が良くなかったけれど、今はその息子さんの代になって、とても良い安定した治世のようです。
金ぴかの門を見学のあと、向かい側にある少し裏寂れた感じのユダヤ街へ。いよいよ細道に入ります。迷路のような路地で、角材が空間に渡されて、お互いを支え合うような構造も見えます。マダニさんについて歩いていると方向感覚もなくなり、ただ通り過ぎる家々の決して美しくはないけれど、その壁の色に惹かれました。撮影のためのカメラとセーターなどをバスに残してきたことが悔やまれます。
いつの間にか王宮の南西の端に出て来て、見上げるとコウノトリの巣、それもいくつも・・。フェズはコウノトリのいる幸せな街でもあるようです。王宮近くの小さな屋外市場を歩くと、オレンジを運ぶひとや新鮮な野菜に見とれます。
次は小高い丘を登ってタイル屋さん。白壁が眩しい街を見下ろす作業場には、腰をかがめたままの姿勢で一心に泥を型に流すひと。高原のような爽やかな気候でしたが、陽ざしが強く、冬や真夏の作業は大変だと想像できます。工房では染付されて焼かれたタイルを、モザイク柄のために細かくカットする作業。本当に気の遠くなるような仕事です。次はもちろんショップ。良いけれどお土産には重そうで、申し訳ないけど見せていただくだけでした。
丘を下りていよいよ8世紀に造られたスーク(市場)、フェズ・エル・バリ。ありとあらゆるお店がひしめき合って、混沌とした別世界に紛れ混んだよう。数100年も連綿とつづく、その普遍性に脱帽するしかありません。
路地を通りながら陽の差し込む場所で素敵に年期の入った壁に出会い、カメラとセーターを取り出して撮影。ひとの往来が途切れるのを待って細い通路で準備をしていると、暇そうなオジサン軍団のギャラリーが何か言ってます。マダニさんが通訳「そこに釘があるって」。なるほどおあつらえ向きの錆びた釘が数本、ありがたくお借りしてハンガーを引っ掛けガシャッとシャッターを押して、秋に刊行予定の本の一ページが撮れました。
ロバと行き交います。少々ぶつかってもビクともせずオトナシイ。ラクダもユッサユッサと通りすぎ、あァ、肉やさんにラクダの頭がぶら下がってる!!魚・野菜・香辛料・革細工・日用品・お菓子・銅・金細工など際限のない業種であふれ、シャッターが下りた店など皆無。モスクや寺子屋のような一角もあり、角を曲がるたびに現れる異界に圧倒されます。
どの通りでもマダニさんは左右のお店から声を掛けられ、袖を引かれて超人気者。そういえば、このスークに入るころからひょろっとした老人が加わり、マダニさんいうところの名前が似ているらしく「シシャモ」さんがスーク限定のアシスタントガイドさんのようです。ほとんど無口でしたが、行く先々のお店と時間を打ち合わせたりしているらしく、居なくなったと思ったら前の方から現れたりして、添乗員のU氏は「元諜報員だったんちゃう?」ですって。
どれくらい歩いたでしょう。やっとランチのレストランへ到達です。どうやら二軒の家をあとから繋げたようで、私たちは細くて短い階段を登り下りして奥の間へ。そこへドイツからの観光客が30人弱入って来ました。チキンと野菜のタジン鍋。もちろんデザートつきでひと息ついた後、午後一番はナメシ皮屋さん。匂い消しにミントの生葉を渡され、鼻の下に当てながら屋上まで登って、眼下で繰り広げられる「皮なめしの作業」を見学し、いよいよシッョピングタイムです。
壁一面の踵をつぶしたバブーシュが目当てだったのですが、アトリエでも履いていられる茶系のサンダル風をゲット!気に入っています。羊皮は臭いけれど、ラクダとヤギは臭わないのですって。
刺繍屋さんも行きました。フリーハンドで下絵なしに刺繍をするってすごくない?お一人が「丁度大きなテーブルクロスが欲しかった」と言って購入。もちろん数えきれないほど見せてもらった中から選ばれました。
お次は皆さんお待ちかねの「アルガンオイル」。マダニさんお薦めのごく庶民的なお店に案内され、ソファに座ってじっくり説明を聞きながら品定め。モロッコの南西部にしか自生しないアルガンの木の実を割って、中の実を取り出して潰し、オイルを絞った貴重なもの。モロッコ美人のお肌にあやかって爆買いするしかないでしょう。
その後スークの中の民家(もあるのですね)に誘われ、定年後自宅でお茶のひとときを過ごさせてくれるサダニ邸へ。玄関を入ると吹き抜けのロビーがあり、左右に居間があってキッチンも見せてくれました。代々伝わるお茶道具一式でお湯を沸かしミントテイーをふるまってくれます。甘味はサトウダイコンのかけら、大きさを選ばせてくれるところなどにくいです。ソファは石壁の三方に置かれて、ちょうど10人がゆったり座れました。民俗楽器の演奏タイムもあり、モロッコの暮らしも体験できたのです。通りの向かいの金細工のお店も冷やかし、スーク巡りも終了!楽しかった!
旧市街は金曜日がお休みとか、土曜日で幸いでした。週末のなんとなくのどかな街を歩いてバスまで戻り、いったんホテルでくつろいでから、再びバスでちょっと気取ったレストランでディナーの夜でした。  つづく

潜り抜けるアーチ型門の天井にも
綺麗なモザイクが・・・

丘の上からフエズの街を眺める

2020  ポルトガル・モロッコの旅 Ⅳ 

何気ないタイルも素敵!

ユダヤ街

泥水の入ったプールで皮を柔らかくする

魚屋さん

初めてのアフリカに興味津々です。出迎えてくれたガタイの大きいガイドのマダニさんの優し気な人柄に、ヨーロッパでコロナ緊張していた私たちは救われた気もちになりました。
カサブランカ市内へ向かうバスに乗って驚いたのは、そのマダニさんの立て板に水のような日本語!しかも独学というのですから目を回してしまいます。
市内へつづく道路脇には数十メートルおきに衛兵が立ち、どなたか偉い方が通られるようで、衛兵さんたちの派手目な部署が異なるのか異なる制服に見とれ、街路樹としてミモザが植えられ、ちょうど咲始めのときらしく日本のものよりまあるいひと玉の大きさにも驚きました。そしてもちろんナツメヤシの並木やベンジャミンの樹も、強い陽ざしを避けるように植えられて道路に影を作っています。
先ずは王宮へ。衣装がモロッコらしい水売りのおじいさん(昔の風俗で観光用)がいたり、初見参の地ですから好奇心いっぱいで辺りを眺めました。
次に向かったのはモスク。海沿いにある広大な広場の向こうに聳えるミナレットに感嘆!誰かが「わァ感激、こんなところに来るなんて思っていなかった!」。Me too!
今回のモロッコはポルトガルに行こうと決めたとき、もう一箇所を決めるのに、スペインではなく、なんとなくのモロッコでしたから、2泊3日の短い旅です。そして「フェズ」という古都をチョイスしたのですが、飛行機と時間の都合でカサブランカ経由となりました。そこでフェズへ直行せず、映画「カサブランカ」でしか知らない街をぐるっと回って欲しいと添乗員のU氏には伝えていましたが、まさか立派なモスクに出会えるとは・・・。宗教の力はとてつもないと感じていたけれど、寄進だけで建ててしまう目に見えぬ力に圧倒されたのです。
タイトな時間の中でマダニさんが選択してくれたお陰です。近寄るとタイルの装飾はたとえようもない素晴らしさ、ただただ感嘆です。ここで必要に迫られて皆さんとトイレヘ。しかしマダニさんが教えてくれた方向には無く、尋ねてもあっち!と言われ、モスクの端から端まで歩いて判明したのは、曜日か何かで男性と女性の場所が交換されるということ。あァ、スーパー銭湯の「女湯と男湯の日替わり制」ね、と納得。しかし地下にあるトイレの立派さ!手足を洗う長い水場と楕円を描く数えきれない個室の数と、回りの壁がすべて細かいタイルのモザイク模様の美しさに驚嘆してしまいました。

地下への階段付近

青空とミナレット

その後、カサブランカ市内を通り抜けながら、映画の舞台となったBARなどを教えていただいたりして街を出て、一路東にあるフェズを目指します。砂漠はアトラス山脈の南に広がりますから、北の海辺に近いこの辺にはドングリ林もあり、ドングリは食用や油も採れて貴重な資源となるそうです。そしてオリーブと大麦・小麦の農村地帯がつづきます。日も暮れ始め、ようやくフェズの明かりが見えてきました。どのような所でしょう?スーク(市場)に行って見たいですね。この夜は新市街の立派なホテルに泊まります。

フェズの王宮門

コウノトリのいる風景

オレンジの荷車

タイル屋さんの工房にて

左がマダニさん

ナメシ皮工房

サダニ邸

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スークで出会ったロバさん

カサブランカのハッサン2世モスク。
聳えるミナレットの装飾タイルが美しい!

サボテンの実

手刺繍のお店で

リヤドは宿、ルーナという
プチホテルへの看板絵?

旧市街への入口、ブルーゲート

コロナの脅威が止まりません。後手後手の無策が国民の命を奪っているのに、
犬を抱いてくつろぐトップなんて何処にいるのでしょう。「存在そのものが緊急事態」だと
友人のひとりが言ってました。

桜は散り終わりましたが、咲き始めた藤は思いがけない雨や寒さに満開が先延ばしと
なっています。でもアプローチのモッコウバラは写真のように八分咲き。長いフェンスに
寄り添うカロライナジャスミンとイエロー同志で競演中。
庭木の手入れをすることで、気分転換と健康維持に努めているところです。
皆さまもどうぞお元気で。 asako  2020・4・24

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