レッスンのあと、いつもは日帰りですが、この日は土曜日に所用があり一泊するので、金曜日は20時まで開場している東京都美術館へ「マティス展」鑑賞に出かけます。松戸へ帰られるYさんと日比谷線の上野駅でお別れし、何十年ぶりかの上野駅をさまよいます。本屋さんや雑貨店も興味深くすごして外に出ると、いきなりの豪雨。線状降水帯とはこのようなものかと、はじめての出会いに驚きました。
ビショビショになりながら、駅近くと思い込んで行くと、そこは「国立西洋美術館」、ああそうだった、大昔に訪れたっきりの上野です。横殴りの雨に打たれながら、小川となった広場を横切り、水がくるぶしまで流れこめば濡れることに、こだわりって無くなるものですね。ネットで予約したチケットですから、雨に負けて引き返すわけにもいかず、たどり着いた動物園横のミュージアムは、金曜日の宵をアートと過ごすひとたちが結構いらっしゃいました。
画家アンリ・マティスはフランスで1869年に生まれ法律家をめざし、資格をとって法律事務所に勤めていました。その後、画家への転向を決意してパリの国立美術学校、エコール・デ・ボザールを受験するも入学には至りません。にもかかわらず、熱意を評価した教官ギュスターヴ・モローから指導を受けることができました。セザンヌ・ゴーギャン・ゴッホなど後期印象派の影響を受けながら、次第に幾何学的な構成による抽象的な絵画へと移行。
4月30日(日)付けA新聞の全面広告となった「赤の大きな室内」はカラー版でしたから、その赤に誘われて思わずネット予約をしたのです。17:00からのチケットで入場すると、初期のころの油彩は写実的で小さめのものも多く、どれも素敵!会場を巡りながら、どんどん抽象的になっていく過程も興味深い。そしてついに「赤い部屋」の前に立ちました。146×97cmながら迫力のある画面に、誰もが魅せられています。マティスを代表するといっても過言ではありません。ピカソが妬んだと言われるほどの才能に心を掴まれてしまいました。
彫刻も美しくシンプルなラインにパワーを感じます。巨大な「背中」という連作もど迫力。女性の後ろ姿を長方形のフォルムで表現し、どんどん細部が削られていくプロセスも感動しました。
晩年、体力の衰えによりマティスは絵筆からハサミによる切り絵に制作方法を切り替えて、作品を生み出していくのです。最晩年、南仏ヴァンスのドミニコ会修道院、ロザリオ礼拝堂の内装デザインを手がけ、切り紙をモチーフとしたステンドグラスなどは、20世紀キリスト教美術の代表作とされています。映像で見せてくれる礼拝堂では、置かれた大ぶりのキャンドルに光が注ぎ、ステンドグラスの黄色や紫が、それぞれのキャンドルに映りとられて、それは美しいものでした。
1954年84歳で逝去された誰も真似のできないマティスの世界。どしゃ降りの雨に濡れた衣服や心が温かくなり、いつのまにか乾いていきました。小ぶりになった薄暮の上野の森を歩きながら、またいつか観たい企画のあるときに来ようと、マティスにパワーをいただいたのでしょうか、豪雨にめげない私でした。
6月雑感
6月2日(金)、レッスンのため上京、この日は大雨注意報が出ていて、新幹線はいかがかと不安に思いながら京都駅に行きましたが、運行に支障はなく無事乗車。5月は休みでしたから東京クラスの皆さんと久しぶりに「ランチの会」の日です。
4月に立ち寄り、これは良さそうと決めた日本橋・三越の別館地階にある、「フォートナム&メイスン」のカフェレストランに11時半集合。Yさんが早めに来店して席を確保していてくださいました。2人欠席で9人がオーダーしたのは、イギリスらしいサンドウィッチとミニケーキつきセットなど。
コロナ禍以前は会場のあった南青山周辺のオシャレなお店でよく集いましたが、遠征してのランチは、世の中の流れがすこし良くなったからかも知れません。食後いったん解散して、ふたたび六本木にある今年からの会場に集合。銀座線と日比谷線を乗り継げば30分足らずの移動です。前橋や茨城から来られる方もいて、私もふくめ非日常の佳き気分転換となりました。
2023年夏の新作と、皆さん取りかかっている春もののサンプルを事前に宅配便で送っていたので、試着したり写真に撮ったり賑やかなレッスン時間となりました。3月から始めたタペストリーも完成し、感想の言葉にその写真を添えたプリントも配布。年6回と回数を減らしましたが、メールやお電話でコミニュケーションをとりながら、レッスン月を楽しみにしている東京クラスの皆さんです。
また7月に!
手描きの黒板
クレモンさんとパンたち
ALMAのアルガンオイルとバラ水
右上の棚にベークライトの花柄カップ
・・・・
赤の大きな室内
ワイン片手にシャンソンを聴く
いつの間にか庭の片隅に
大好きなアガパンサスが咲いていました。
来年も咲いてくれますように。
東本願寺
山科別院 境内にて
『ぼくのともだち ガムーサ』
市川里美 著 BL出版
もう6月も下旬、半年が過ぎ去ろうとしています。梅雨らしい日々ですね。
京都では祇園祭に関連する記事が多くなりました。あっという間に夏。
お元気でお過ごしください。 2023・6・24 asako
優しいイラストレーター VIRUXINYさん