冬のバラ園にて

冬の一日

北大路通りの「府立大学前」バス停から南へ徒歩5分ほどのところですから、植物園は徒歩圏内。信号待ちの間に、バス停近くの花屋さんで、行きがけに見ていた小さなビオラを二つゲット!それほどの荷物でもないのに「持ってあげる」と言って、遠慮しても聞きません。私よりだいぶお若いけれど、恐縮してしまいます。
ちょうど東に比叡山の見える府立大学の東門(正門?)から入り、学食(たまご)も教えてあげて、「知らなかった!」という北泉門から入門。私は敬老乗車証を見せてパス。カオリさんは200円。ひと気のない冬の植物園も良いものです。しばらく来ていなかったというので、私なりのご案内をいたします。冬のバラ園は淋しいものですが、けなげに咲いている薔薇にも出会えます。どれも小ぶりで初夏のような大きく力強いものたちとは大違い。それが冬らしくて良いのです。
けやき並木を横切り、大芝生も横断して、この日見たかったナンジャモンジャを訪ねます。初夏には真っ白い花を風に遊ばせていたヒトツバタゴは、見上げると小さな黒い実が数え切れぬほどいっぱい付いていて、どれだけ花が咲いていたのかという証拠ですね。落ち葉の積もった小道をカサコソ音をたてながら歩いて桜林へ。まあもう咲いています。その名も「冬桜」。小さくってはかなげですが、蕾はしっかりと濃いピンク。なんて可愛いの!と二人で感嘆!「十月桜」も咲いて「河津桜」はあと少しで開花でしょうか。
梅も咲いています。「南高梅」って梅干しになりますよね。ちらほらと散策する人たちもいて、冬の日曜日らしい静かな植物園。蝋梅(ロウバイ)の落ち着いたイエローも気を引きます。ピンクのエリカや紫の葉ボタン、菜の花、白梅と冬ならではの花々に出会えて、花好きのふたりにとって至福の散策となりました。
葉を落とした高木の枝ぶりシルエットも三角錐やら楕円風やら、この季節にしか見られない光景にうっとりしながら、この一月に100周年を迎えた植物園をあとにして、賀茂川沿いの土手を南へ歩き、北大路橋のたもとでカオリさんと「さようなら、またね」。
空気はひりひりと冷たいけれど、春色にほっこりすることができました。
2月4日は立春。春はそこまで、と思いたいこの頃です。お元気でお過ごしください。

2024・1・30  asako

能登地震で明けた2024年も、もう一月を終えようとしています。
なんて早く月日の過ぎ去ることかと、今年もカレンダーをめくるたびに思うことになりますね。暖冬との予想なのに、北国はかってない豪雪。京都も24日にうっすらと雪景色でした。まだまだ寒さはつづきますが、春の気配に出会って来ましたのでご報告。

十月桜

南高梅

28日(日曜日)、昨年家を建てられた洋装店SABUのカオリさん宅を訪問。お誘いを受けて、とても楽しみにしていました。始めて伺うのに、ご了解を得てニット作品と一眼レフカメラ持参です。きっと素敵に建てられたと確信していました。お家のどこかで撮影させていただくつもりです。
下鴨の静かな住宅街を歩きながら、玄関前に山野草が植えられている外観をひと目見てカオリ邸発見。シンプルなドア脇のピンポンを押すと、どこからか「はァーい」と返事が聞こえます。開けてくださった玄関に入ったとたん「オッシャレ!」と第一声。東西に細長い敷地が有効に使われて、とにかく整然とした佇まい。置かれた家具も年季の入ったお気に入りが数点。収納棚などは全部設計の段階で排除されたそう。西にあるガーデンを眺めるリビングダイニングの心地良さったら・・・。
楢材の素朴な厚さのある一枚板のテーブルは長さ2m40cm、幅1m。先端がやや細くなっていて、ひとつも長く見えないのは、それだけ奥行のある空間ということでしょう。お庭に出るガラス戸前には糸車が置かれています。お二階拝見。カーブして誘われる階段室は南上に大きな窓の開口部。それが二階の凹みに合わせた小粋なテラスのガラスと直角の素通しで明るく一階に光を落としています。南隣りのお宅の植栽が借景となり、ツタの絡まるベランダにはモッコウバラの枝が伸び放題。SABUさんにもあるモッコウバラとご縁があったのですね。東のお部屋は寝室、窓から比叡山の先っちょがお向かいの屋根越しに見えます。リビングを見下ろすような和室も客室として外せず、漆の床板を置いた床の間つきです。
ランチの準備をしてくださるカオリさんと会話しながら、さっそく糸車と「天使たちのカーディガン」を撮らせていただきます。二階の寝室には南西のコーナーに明るい光が差し込む小窓があって、白いポジャギ(麻でつくられた韓国のパッチワーク)が掛かっています。窓脇には何とも風情のある椅子、そこに「森の学校のベスト」を掛けてカシャッ。「撮るとこなんかないわよ」と言われていましたが、いえいえ初夏のモッコウバラの季節には再訪させていただいて、二階のテラスでサマーニットを撮らせていただく約束もしました。

蝋梅

1月24日朝 アンジュにて

長年収集された作家さんたちの陶器やガラス器も飾られていて、ミュージアムのようですが、どっしりとした水屋にもはち切れそうな食器に見入ります。テーブルの上にはまるでお洒落な和食屋さんのような器と「お弁当用」というおばんざいの数々、その上天ぷらを揚げてくださっています。ワカメと生麩のすまし汁もアツアツで完璧すぎ!そしてかやくご飯も薄味で美味しい!おまけに栃木のお酒「米鷹」まで藍色のおちょこに注いで下さるので、ほろ酔い気分の昼下がり。デザートは自家製のあずき餡を最中の皮に挟んだもの。しあわせなランチタイムとなりました。
建築には興味がありますから、折々うかがってはいましたが、土地選びから完成に至るプロセスまでを深堀させていただき、ご自分の思いを貫かれるスピリッツに敬服しました。テーブルに座りながら、リビングの高窓を見ると雲の流れていく様子が画面のよう。
さあお暇をしようと、「これから植物園に寄って帰るわ」と言うと、「私も一緒に行く!」と言ってくれました。

森の学校のベスト

メタセコイアは背高のっぽ

冬のナンジャモンジャ(ヒトツバタゴ)
小粒の実がいっぱい

天使たちのカーディガン 部分

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