1883年、43歳のモネは亡くなった前妻との子二人と、パートナーとなるアリス・オシュデとその子どもたち六人との大家族でジベルニーに移り、借家として住むことになるその家は、大きくて広い庭もありました。1890年モネはその家を買取り、村道とセーヌ川の間にある湿地も買い広げ、そこにセーヌに注ぐエプト川から水を引き池を作ります。パリ万博で初めて見たという睡蓮に惹かれていたモネにとって、その池は睡蓮を育てるためのものでした。
花と緑に覆われた、まるで迷路のような小道は、池に注ぐ水路に出会い、柵の向こうにひろがる草地を見渡し、いよいよ池に到着。ここに至るまでもどれほど花の写真を撮ったことでしょう。ちょうど花盛り、ジャストシーズン!幸せな楽園です。
日本の浮世絵の蒐集家であったモネは、描かれていた太鼓橋を作ります。それに緑のペンキを塗ったところがモネ。柳が揺れて水面が揺らぎ、モネの世界にたたずめば、印象派の巨匠と言われた画家との距離が近くなった気がします。
道路の下はトンネルになっていて再度くぐると、ようやくピンクの家のある主庭園。花畑とバラのアーチが懐かしい。ジャクリーヌさんと、ときには友人も交えて数回訪れているガーデン。でもこれほどの花の種類と、いずれも立派な花姿には出会っていませんでした。園芸家の日々の手入れも半端ないことでしょう。

5月29日(木)、この日はパリからノルマンディー地方の入口にあるジベルニーへ出かけます。バスは8:30にホテルを出発。高速といっても料金所のない快適な道を北上します。約一時間でセーヌ河畔の村ベルノン着。ここから車で30分ほどの村に暮らす手芸家のジャクリーヌ・ゴヴァンさんを訪ねて何回も訪れています。パリのサンザラール駅からルーアンやノルマンデイーの海岸へ向かうル・アーブル線に乗り、約50分ほどで到着すると、初めて来たころはホームに沿った道路に柵もなく、そのまま停めてある車でピックアップされたほどののどかさでした。いつのまにかベルノンはモネの家のある村として有名になり、ホーム沿いに柵も作られ、改札口は地下にいったん下りるスタイルとなり、通うたびにオーバーツーリズムを実感する駅となりました。
さて、バスはそのベルノン駅の手前でセーヌ川を渡り、パリに戻るように川沿いの道を走ります。ジャクリーヌさんの車はこれほど遠くに停めていなかった、と思うほどモネの家からだいぶ離れた場所に大駐車場。大型バスも予約が必要なほどの盛況ですから、仕方のない距離なのでしょう。しかし好天に恵まれ時は初夏。緑につつまれた村はバラなどの花も咲き、モネのガーデンへの期待もふくらみ、クロード・モネ通りには以前は無かったカフェやホテルにミュージアム。世界中からやって来るモネ大好きファンたちの心をざわつかせます。モネの家の角でセーヌ川方面に坂道を下がり、裏門?から入場。事前に予約をしているので待ち時間はないのですが、それでもスゴイ人たち!「モネの庭」巡りが始まります。

2025初夏の旅 Ⅲ パリ郊外

モネ家のコレクション

二階の窓からの眺望も、カーテン越しに・・・。

日本は西と東に分けられ、梅雨が明けたところとまだのところもあり、
関西も14日あたりから戻り梅雨の予報です。やり切れない暑さの日々ですが
参院選にも真剣に向き合って投票したいですね。
初夏の旅がなかなか終わらず、このあとヘルシンキに行くのですが、
次回で終了としたく思っています。

どうぞご自愛ください。

asako 2025・7・12

睡蓮はまだ咲いていなかったけれど、
ポピーやアガパンサス、ゼラニューム、バラなどが
むせるように咲いていました。

・・・・・・・・・・・・・・・

『ジベルニーのモネの庭にて』

ヴェルサイユ宮殿にて

ヴェルサイユも人だらけ

名前の分からない白い花がびっしり咲いている樹の下で、足踏みしながら「モネの家」への入館を待ちます。モネが暮らしていた当時のままに再現された室内に入り、何度訪れても感動はあらたなものです。一階も二階も窓辺のカーテンが素敵!モネも眺めていたに違いない庭の全景も見渡せて、浮世絵のコレクションも見ごたえあるけれど、私は初夏の窓辺に魅了されました。
出口はショップを抜けるようになっていて、それは楽しいお買いものタイムです。以前入口だったところが改装されたのですね。素晴らしい見学でした。私たちは丁度日本で巡回展をしているマルモッタン美術館からそっくりやって来た「モネ展」を京都の京セラ美術館で鑑賞し、前日はマルモッタン美術館で8点の大睡蓮画を観て、事前の学習をおこたらずに「モネの庭」に伺えたことは幸いでした。
咲き誇る花たちに見送られて、またクロード・モネ通りをバスへと戻り、このあとバスはパリへの道の途中で西へ向かい、ヴェルサイユの街でランチ。その後、宮殿を見学し夕刻にホテルに戻り、それぞれホテルのあるオシャレな街を探索したり、軽い夕食をとって一日を終えました。